聖櫃

聖櫃（せいひつ）とは

聖櫃（せいひつ）は、ユダヤ教やキリスト教において重要な意味を持つ特別な箱を指す言葉です。その形態や役割は、それぞれの宗教や宗派によって異なります。

ユダヤ教における聖櫃

ユダヤ教においては、聖櫃はシナゴーグ（ユダヤ教の会堂）において、トーラー（モーセ五書）の巻物を保管するための特別な設備を指します。これは単なる保管場所ではなく、信仰の中心となる神聖な場所です。

配置場所: 聖櫃は、シナゴーグ内のエルサレムの方向に向いた壁に設置されます。これは、信者が祈りを捧げる際にエルサレム神殿に心を向けるためです。
ミズラハとヘーハール: アシュケナジム系コミュニティーでは、エルサレムの方向を示す壁や装飾品を「ミズラハ（東）」と呼びます。一方、セファルディム系コミュニティーでは「ヘーハール（宮殿）」と呼びます。
構造: 聖櫃の形状は様々で、壁に埋め込まれたものや、壁の前に設置された箪笥状のものがあります。セファルディム系では聖櫃の上にネール・ターミード（ランプ）が下げられ、アシュケナジム系では聖櫃の前に幕（parokheth）が下げられます。
トーラーの取り扱い: トーラーの朗読の際には、聖櫃からトーラーの巻物が取り出され、朗読が終わるとケース（アシュケナジム系ではマント）に入れられて聖櫃に戻されます。

キリスト教における聖櫃

キリスト教においても、聖櫃は重要な意味を持ちますが、その形態や役割はユダヤ教とは異なります。

正教会

正教会においては、聖櫃は聖人の不朽体が納められた装飾された箱を指します。また、以下のものも聖櫃と呼ばれることがあります。

聖龕（せいがん）: ハリストス（キリスト）の聖体（予備聖体）が納められた宝座上の箱。
約櫃（やくひつ）: 旧約聖書に記された契約の箱。

正教会では、旧約における約櫃に生神女マリヤが預象されていたと伝統的に捉えられています。

カトリック教会

カトリック教会においては、聖櫃はキリストの肉に聖変化したと信じられているパン（聖体）を納めるための容器です。聖体が納められているかどうかは、小さな赤いランプが灯っているかどうかで示されることが多いです。多くは銀などの金属で作られています。

また、契約の箱を聖櫃と呼ぶこともあります。

フィクションにおける聖櫃

聖櫃は、映画などのフィクション作品にも登場することがあります。

レイダース/失われたアーク《聖櫃》|レイダース_失われたアーク《聖櫃》: インディ・ジョーンズ シリーズ|インディ・ジョーンズ_シリーズに登場する聖櫃は、旧約聖書に登場する契約の箱をモチーフにしたものです。

関連項目

至聖所
契約の箱

外部リンク

“Aron Kodesh” - Jewish Encyclopedia

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