胸像

胸像の概要

胸像（きょうぞう）は、人間の胸から上の部分を模った立体的な彫刻作品です。広い意味では、同じ形式の絵画なども胸像と呼ばれることがありますが、ここでは特に彫刻や塑像を中心に考察します。胸像は特に人物の肖像を立体化したものであり、その人物を忠実に再現することが重要視されています。この描写においては、顔とその周辺部位（頭部、首、肩、胸部など）に視線が集まる自然な理由から、制作されることが多いです。

胸像は、古代ローマ時代から数多くの作品が作られ、石材で作られたものは特に長い歴史を持ちます。これらの作品は、当時の顔立ちや特徴を現代にもたらしてくれる貴重な資料です。胸像の制作目的は多様ですが、歴史的には偉大な人物や貴族の記念のために作られ、その功績を称えるためのアイコンとして機能してきました。

胸像は全身像よりも簡便であり、威圧感を与えないため、現代においても多く利用されています。企業では創業者の胸像が飾られ、学校や大学の施設内には著名な教育者の像が設置され、公共施設では地域の歴史的人物の胸像が見られます。一方で、特定の個人をモデルにしない胸像も作品として制作され、幅広く利用されています。

その他の用途

胸像は美術系の学生にとって、デッサンの学習や模写の対象としても用いられます。学校の美術室には専用の白い石膏で作られた複製像が置かれており、一般的には「石膏像」として知られています。この種の石膏像はミケランジェロのブルータスやミロのヴィーナスなど、非常に有名な作品のデザインを元にしています。また、全身像が存在する作品も一部を切り取って胸像として複製されたものも見られます。美術用の石膏像は、原型彫刻の美しさを保ちながら、学生やアマチュア画家、プロフェッショナルなアーティストにとっても貴重なモチーフとなり、タブローの作品に活用されることがあります。さらに、これらの胸像はインテリアとして飾られることも一般的です。

材質について

胸像に使用される主要な材質には、石膏、青銅、木材などが挙げられます。歴史的には大理石を用いた作品も多数存在しましたが、現代においては耐久性が高い一方で加工が難しいため、あまり見られなくなっています。可塑性のある素材の場合、鋳造方法が用いられ、切削性の素材の場合は彫刻が行われます。鋳造では粘土を用いて原型を制作し、その型を使って胸像が作られます。特に石膏像は過去の著名な作品から型を取り、大量生産が可能なため、広く用いられています。

制作の目的

胸像は、以下のような目的のために制作されます。

• - 芸術的表現：様々なスタイルや技法で作品としての美しさを追求。
• - 偉業の称賛：社会や文化に貢献した人々を称えるために制作。
• - 個人崇拝：特に独裁体制下の国々では、権力者の個人崇拝の象徴として用いられることがある。

関連項目

• - 彫刻
• - 塑像
• - 石像
• - 銅像
• - トルソー

日本では、名誉議員が国会議事堂内に胸像を飾られる慣習があります。このように、胸像は文化的、社会的な意義を持ち続け、多くの場面で利用されています。

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