能古島

能古島の概観

能古島（のこのしま）は、福岡県福岡市西区に位置する博多湾の小さな島です。島の現行の行政区分は能古で、2024年2月末の時点では621人が住んでいます。福岡市の中心部からは船で約10分でアクセスでき、地元の人々にとっては日帰りの行楽地として親しまれています。特に春にはアブラナ、秋にはコスモス、冬にはスイセンの名所として知られ、これらの花が咲くシーズンには観光客で賑わいます。

地理および地質

能古島は博多湾内にあり、南北で約3.5キロ[[メートル]]、東西で約2キロ[[メートル]]の大きさを持っています。周囲は約12キロ[[メートル]]で、総面積は約3.95平方キロ[[メートル]]です。島には標高195メートルの地点もあり、幾つかの山があります。

島の西海岸には、3億年前の変斑れい岩と結晶片岩が見られます。また、1億年前の花崗岩や4000万年前の残島層（のこのしまそう）に由来する礫岩や紫赤色頁岩も存在します。防波堤の近くには500万年前に噴出したマグマの火道が残っており、玄武岩を各地で見ることができます。

福岡市との関係

能古島は姪浜港から福岡市営渡船で短時間で訪れることができるため、地域振興計画には含まれていないものの、1970年に市街化調整区域に指定されてきました。住民基本台帳によると、2021年8月末時点で350世帯、666人が居住しています。

教育機関は中学校までで、福岡市立能古小学校と同市立能古中学校が隣接し、福岡市初の小中一貫校として少人数教育を実施しています。

歴史

能古島の名称は時代ごとに「残」「能許」「乃古」などの表記があり、731年頃の文献『平安遺文』では「能護嶋」として登場します。また、『筑前国続風土記』によれば、神宮皇后がこの島に神霊を残したことから「残の島」と名づけられたとされています。

古代には、磨製石器や黒曜石など多くの遺物が発見されており、弥生時代の土器も出土しています。7世紀には古墳群も存在し、歴史的な背景を持つ重要な地域です。

中世には北浦城の遺構が残っており、戦国時代には大友氏の所領となりました。元寇や桶狭間の合戦など、島は多くの歴史的事件に関与しました。

近世に入ると、島は廻船の根拠地として栄え、またニホンジカを防ぐために特別な石垣が設けられました。この石垣は「鹿垣」と呼ばれ、多くの歴史に関わる事物を残しています。

明治以降は、沿岸漁業と柑橘類の栽培が主な産業となり、1889年の早良郡残島村の設置を経て1941年に福岡市に合併されました。

観光名所と産業

能古島では四季折々の花々を楽しむことができる「のこのしまアイランドパーク」や、海水浴場が観光スポットです。また、島内には歴史的な白鬚神社もあり、文化的な行事も行われています。

産業面では、甘夏みかんやニューサマーオレンジの生産が盛んな他、地元漁業による新鮮な海産物も魅力です。観光業も発展しており、訪れる観光客に地元の特産品を提供しています。

島は、作家の檀一雄が晩年を過ごした場所でもあり、その作品においても能古島の文化が色濃く反映されています。毎年行われる「花逢忌」では地域の人々が集まり、彼の記憶を共有しています。

能古島は自然の美しさと歴史文化が交錯する特別な場所であり、その魅力は訪れる人々に深い印象を与えます。

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