腹水

腹水についての詳細な解説

腹水（ふくすい）は、腹腔内に異常に多くの液体が存在する状態を指します。この状態は医学的には症状や病態として評価され、様々な基礎疾患に起因することがあります。

原因

通常、腹腔内にはごく少量の液体が存在しています。しかし、特定の疾患や状態において、血漿タンパク質の減少、門脈圧の上昇、または炎症や癌による腹膜への浸潤が原因となり、液体が異常に増加します。具体的には、以下のような場合があります。

• - 肝硬変：この疾患では、肝臓のアルブミン合成能力が低下し、門脈圧が亢進します。この結果、腹水の指標とされる漏出液が多く見られます。
• - 腹膜炎や悪性腫瘍：例えば、卵巣癌や肝癌などが腹膜に浸潤すると、滲出液が増加し、腹水が形成されることがあります。

症状・所見

腹水の貯留によって、体重の増加や腹部の膨らみ、尿量の減少などの症状が現れます。診断は主に腹部超音波検査やCTスキャンを行うことで確認されます。これにより、腹水の量や性状を詳細に評価できるので、原因疾患の特定に役立ちます。

治療法

腹水の治療では、原因疾患の治療が最も重要ですが、肝硬変や癌に伴う腹水は治療が難しい場合が多く、対症療法が主なアプローチとなります。以下が一般的な治療方法です。

利尿薬

最初に選ばれるのが利尿薬で、体内の余分な水分を尿として排出し、腹水を減少させる効果があります。特にループ利尿薬がよく使用され、場合によっては保持性利尿薬と併用されます。

アルブミンの投与

低アルブミン血症によって膠質浸透圧が低下すると、利尿薬の効果が減少します。このような状況では、アルブミンを投与することで一時的に膠質浸透圧を上昇させ、腹水を血管内に戻すことができます。

腹水穿刺

迅速な効果を求める際に行われる方法で、腹腔に管を挿入して腹水を排出するものです。効果は即効性がありますが、原因が解決しない限り再び腹水が増加する可能性があります。また、頻繁に行うと血漿蛋白の喪失を引き起こし、腹水の増悪を助長することに注意が必要です。

腹腔-静脈シャント

肝硬変や癌性腹膜炎などで使用される治療法で、逆流防止弁付きのカテーテルを皮下に埋め込む手術を行います。この方法は、自動的に腹水を静脈に送り込む特徴があり、腎機能や電解質バランスの改善が期待されますが、合併症のリスクもあります。

薬剤の腹腔内投与

癌性腹水に対しては、薬剤を腹腔内に直接注入する方法も試みられています。これにより、病状の改善が見込まれる場合があります。

関連項目

腹水に関連する用語として、漏出液や滲出液があります。漏出液は血管からの透過性亢進により流出するものであり、滲出液は炎症や腫瘍表面からの流出液を指します。また、穿刺液検査や肺水腫についても知識を持っておくべきです。腹水は、必ずしも簡単に管理できるものではなく、患者ごとに適切な治療法を選択することが求められます。

もう一度検索