自警団

自警団とは

自警団（じけいだん）とは、権利の侵害が強く想定される状況下で、法律による手続きを経ずに自らの力を行使して、自己や共同体の権利を守るために結成される組織を指します。これらは私設軍隊や民兵的な性質を持ち、様々な背景に基づいて活動しています。

自力救済機関としての自警団

自警団は、自力救済の一形態として存在します。特に、大規模災害や戦争、あるいは植民地支配などの特殊な状況において、警察や治安機関の機能が損なわれた場合、地域住民が自衛のために結成することがあります。この中には、専門化・プロ化が進んで民兵組織として成長するケースもあります。

アメリカの州兵は、自発的に結成された自警団が法的に整備され、正規軍の補強となった好例です。しかし、こうした混乱期の自警団はしばしば暴力の抑制が効かず、残虐な行為を引き起こすこともあります。例えば、旧ユーゴスラビアやルワンダ内戦では、自警団が引き金となって大規模な虐殺が生じた事例があります。

自警団の歴史的事例

自警団は歴史的に様々な場所で活動してきました。1923年の関東大震災では流言飛語に影響され、自警団が結成され多くの朝鮮人が殺害されました。また、1945年の敗戦後、八重山諸島では自警団が組織され、米軍の統治機構の先駆けとなりました。さらに、1969年には学生のデモに対抗するため、蒲田で商店街の店主が自警団を結成して衝突が起こりました。2019年にはナイジェリアで村を襲った盗賊に対し自警団が反撃し、多数の被害者が出る事件がありました。

現代の自警団

緊急時に結成される自警団のほか、共同の生活環境を保つために結成された自警団も存在します。これらは「共同体維持のためのボランティア組織」として機能することが多く、特に治安が悪化している都市部では自主防災組織や自主防犯組織が活動しています。日本では、災害対策への認識が高まる中で、地域住民が自発的に結成する組織が増加しています。ただし、必ずしも法に則った行動がとられるわけではなく、場合によっては法に抵触する行為が見られることもあります。

日本における自警団の構成員は、正当防衛の範囲を超えて暴力行為を行ったり、威圧的な行動をとった場合、警察による摘発が行われることになります。

自警団に関連するスラング

自警団と称される行為の中には、単に鬱憤を晴らすための活動や排斥行動が含まれることがあります。2020年からはコロナウイルスの影響で「自粛警察」という言葉も使われ、多くの問題が表面化しました。さらに、ウィキペディア内での厳しい姿勢を持つ利用者を「自警」と称するような例も見られています。

ネット上の自警団

21世紀に入り、電子ネットワークの発展とともに「ネット自警団」が登場しました。これらは、インターネット上での不適切なコンテンツや行動を排除することを目的としています。例として、日本では「サイバー・ウォッチ・ネットワーク」が法人格を取得しています。

まとめ

自警団は、歴史を通じて様々な形で地域防衛や治安維持に寄与してきましたが、時には暴力的な行為を引き起こすこともあります。現代においては、その活動が法的に認められない場合が多く、自警団に関する議論や問題も引き続き重要であると言えるでしょう。

もう一度検索