葛城襲津彦

葛城襲津彦（かずらき の そつひこ）

概要

葛城襲津彦（かずらき の そつひこ）は、4世紀末から5世紀前半に活動したとされる日本の古代の人物です。彼は武内宿禰の子であり、葛城氏やその一族の祖とみなされています。また、履中天皇、反正天皇、允恭天皇の外祖父であり、対朝鮮外交において活躍した伝説の英雄とも言われています。ただし、彼の実在性については多くの議論が存在し、「百済記」に登場する同名の人物が彼のモデルとして考えられています。

名称

彼の名前は『日本書紀』や『古事記』で異なる表記があり、『日本書紀』では「葛城襲津彦」とされ、『古事記』では「葛城長江曾都毘古」や「葛城之曾都毘古」という表記が用いられています。彼の名に含まれる「襲津彦」とは、他の文献では「曾頭日古」や「曾豆比古」などとしても知られています。襲津彦の名前は、記紀編纂時の氏姓制度の知識に基づいて付けられた可能性があります。

系譜

襲津彦の父は武内宿禰、母は葛城国造荒田彦女および葛比売です。彼は玉田宿禰、葦田宿禰、戸田宿禰、腰裙宿禰、熊道宿禰の5人の息子を持ち、女子には仁徳天皇の皇后である磐之媛がいます。武内宿禰に関する系譜は後世に創作されたと考えられていますが、襲津彦がその位置にあったという説も存在します。

伝承

高知県の多気・坂本神社では襲津彦が坂本臣氏の祖として祀られている一方、地元では根使主がその祖とされています。また、兵庫県の一宮神社には彼の子孫である伊久波戸田宿禰が祀られ、この神社の設立も彼にちなんでいると伝わります。さらに、布敷首の霊地として知られる場所もあり、伝承が広がっています。

記録

『日本書紀』において、襲津彦は神功皇后や応神天皇の時代に数々の業績が記されており、新羅との外交において重要な役割を果たしています。彼は新羅王の使者に任命され新羅を討伐する命を受けましたが、いくつかの困難に直面します。特に、388年には新羅王からの使者を受けた際の出来事や、新羅との戦いにおいての苦労が語られています。

墓

著名な古墳としては、奈良県の室宮山古墳が挙げられます。この古墳は、葛城襲津彦の関連性が指摘されており、朝鮮との交流を示す出土の品が注目されています。本来の襲津彦の墓は不明ですが、彼の足跡はこの地域に色濃く残っています。

後裔

襲津彦に由来する氏族は多数存在し、『古事記』や『新撰姓氏録』においてもその子孫が記載されています。これにより、彼が古代日本において重要な地位を占めていたことが伺えます。高知県の坂本神社やその他の神社でも後裔の信仰が見られ、地域に根付いた歴史的な人物として位置付けられています。

考証

葛城襲津彦に関する考証は多岐にわたりますが、彼の実在性に対する意見は分かれています。対朝鮮外交の多様な伝承が、彼の存在を一層神秘的にしています。彼が活躍した時代の歴史的背景を考慮すると、葛城氏の地位や外戚関係が彼の存在意義を際立たせていると言えるでしょう。

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