行信教校

行信教校

大阪府高槻市に所在する行信教校（ぎょうしんきょうこう）は、浄土真宗本願寺派における僧侶の育成と仏教教学の専門的な研究・学習を目的とする教育機関です。法的には各種学校として位置づけられており、宗門の発展に貢献する人材を輩出してきました。

教育体制

行信教校には、仏教や真宗学の基礎から専門まで段階的に学べる教育課程が設けられています。主な学科は以下の通りです。

学院部: これは、真宗学や仏教学をこれから学び始める方々を対象とした入門レベルのコースです。修業年限は1年間で、定員は30名です。入学資格は高等学校卒業者、またはそれと同等以上の学力があると認められた者となっています。この課程を修了した者は、浄土真宗本願寺派の教師（僧侶）となるために必要な「教師授与申請資格試験」が免除されるほか、「得度習礼講習会」も免除されるという特典があります。
教校部: 学院部で身につけた基礎の上に立ち、真宗学および仏教学に関してより専門的な教育と研究を行う上級コースです。修業年限は2年間で、こちらも定員は30名です。入学するためには、本校の学院部を卒業しているか、それと同等以上の学力・資格を有していることが求められます。教校部を卒業すると、本願寺派の学階制度における「得業（とくぎょう）」の予試（予備試験）および本試（本試験）が免除されるという重要な特典が得られます。

教学的特色

浄土真宗本願寺派の教学は、江戸時代末期以来、石泉（せきせん）と空華（くうげ）という二つの主要な学派を中心に発展してきました。行信教校は、この中でも特に「空華学派」の教学伝統を継承していることで知られています。これは、本校の教育方針や研究内容に深く根ざした特徴の一つと言えます。

沿革

行信教校の歴史は明治時代に遡ります。

1882年（明治15年）、摂津国島上郡富田（現在の大阪府高槻市富田地区）にあった本照寺の境内に設立されました。初代校長は日野沢依師でした。
設立から間もない1886年（明治19年）には、三島郡如是村東五百住（現在の高槻市東五百住町）の常見寺境内に移転しました。
第二次世界大戦後の1946年（昭和21年）、組織は財団法人へと移行しました。
1949年（昭和24年）には、「本願寺地方仏教学院規定」に基づき、教育部門として行信仏教学院が併設され、教育体制が強化されました。
近年では、2003年（平成15年）に梯實圓師が校長（並びに行信仏教学院長）に就任しています。
2010年（平成22年）4月には、設置者である財団法人行信教校が、法的に学校法人へと移行し、より安定的かつ公益性の高い運営体制を確立しました。

関連施設

浄土真宗本願寺派には、行信教校のような僧侶養成機関のほかにも、中央仏教学院（京都にある本願寺派の総合的な僧侶養成学校）や、勤式指導所（本願寺派の法要儀式である「勤式」の練習や研究を行う施設）などがあり、それぞれが宗派の運営や人材育成において重要な役割を担っています。行信教校は、これらの施設とも連携しながら、浄土真宗の教えを学び、実践する人材の育成に取り組んでいます。

まとめ

行信教校は、その長い歴史の中で、空華学派の教学を基盤としつつ、時代に応じた教育体制を整備してきました。特に、各種資格試験や講習会、学階試験の免除といった特典は、ここで学ぶことの大きなメリットであり、将来浄土真宗本願寺派の僧侶として活躍を目指す者にとって、重要な学びの場となっています。

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