島上郡

島上郡：古代から近世までの歴史と変遷

島上郡は、古代から近世にかけて大阪府（摂津国）に存在した郡です。現在の高槻市と島本町の大部分をその領域に含んでいました。本稿では、島上郡の成立から消滅に至るまでの歴史的変遷を詳細に解説します。

古代：律令制下の郡の成立と変遷

701年（大宝元年）の大宝律令により、それまでの三島郡が三島上郡と三島下郡に分割されました。島上郡は、その後まもなく「嶋上郡」の表記も用いられるようになります。歴史文献には「志末乃加美」、「三島縣三島郡」、「津國御島」といった様々な表記も見られ、その名称の変遷や表記の揺れが窺えます。この時代、島上郡には多くの神社や集落が存在し、地域の政治・経済・文化の中心を担っていたと考えられます。

中世：芥川郡への改称

戦国時代から寛文4年（1664年）までの間、島上郡は「芥川郡」という名称に改められました。この時代の島上郡（芥川郡）は、戦乱や領主の交代などの影響を受けながら、地域社会を維持・発展させていったものと考えられます。具体的な政治・経済状況、社会構造については、更なる調査が必要です。

近世以降：領主の変遷と明治維新

近世に入ると、島上郡は幕府領や高槻藩預地など、複数の勢力の支配下に置かれました。明治維新後、廃[[藩置県]]を経て、島上郡の所属は幾度となく変更されました。高槻県、加納県を経て最終的に大阪府の管轄となりました。この過程で、隣接する京都府との国境、府境を巡る山崎村の所属問題なども発生しています。山崎村は歴史的には島上郡に属していましたが、離宮八幡宮領であったため、一時京都府の管轄に置かれるなど、複雑な経緯を辿っています。明治6年（1873年）10月5日になって、ようやく大阪府への所属が確定しました。この時代の島上郡の行政機構、住民生活、経済活動などは、今後の詳細な研究を要する部分です。

明治時代：郡区町村編制法と郡の廃止

明治12年（1879年）、郡区町村編制法の施行により、島上郡は改めて行政区画として発足。郡役所は高槻村に置かれました。その後、明治14年（1881年）には島下郡と統合され、「島上島下郡役所」となりました。明治22年（1889年）の町村制施行により、島上郡内には複数の村が成立します。最終的に明治29年（1896年）4月1日、郡制の施行に伴い、島上郡は島下郡とともに三島郡に統合され、島上郡は消滅しました。

島上郡に関連する主な施設

島上郡には、歴史的建造物や遺跡が数多く存在します。

嶋上郡衙跡: 古代における郡の役所跡
芥川宿: 江戸時代の宿場町
今城塚古墳: 古墳時代の大規模な古墳
水無瀬神宮: 古くから信仰を集める神社
桜井駅跡: 歴史的な交通の拠点
桜井御所: 歴史上重要な建物跡

これらの遺跡や建造物は、島上郡の歴史を知る上で重要な手がかりとなります。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 27 大阪府』、角川書店、1983年
旧高旧領取調帳データベース

まとめ

島上郡は、古代からの長い歴史を持つ郡であり、その変遷は日本の地方行政制度の変化を反映したものです。本稿では、島上郡の歴史を概観しましたが、より詳細な研究によって、その歴史的意義や文化的価値がさらに解明されることが期待されます。今後の研究により、古代から近世にかけての社会構造、経済活動、住民生活などが明らかになる可能性があります。

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