裁判長

裁判長とは

裁判長（さいばんちょう）とは、裁判における合議審でリーダーシップを持ち、審理を主導する裁判官のことである。単独審においても裁判長という表現が使われる場合があるが、これは正確とは言えない。日本国内での裁判長の役割やその位置づけを以下に解説する。

日本における裁判長の役割

最高裁判所の裁判長

最高裁判所は、日本の司法制度の頂点に位置する裁判所であり、その法廷は大法廷と3つの小法廷から成り立っている。大法廷は最高裁判所の全裁判官15人で構成され、小法廷は5人の裁判官による合議体である。これらの裁判体の中で、裁判長が選出され、その任務を遂行する（裁判所法9条）。

大法廷においては、最高裁判所長官が裁判長を務める（最高裁判所事務処理規則8条）。一方、小法廷では、事件に応じて裁判官の中から裁判長が選ばれるが、長官が小法廷に出席する場合は、長官がその裁判長となることも定められている（同規則3条）。

下級裁判所の裁判長

下級裁判所、すなわち高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所における合議審は、通常、3人の裁判官から成る。このうちの1人が裁判長としての役割を担うことになる（裁判所法18条2項、26条3項、31条の4第3項）。

裁判長の選出方法は、各下級裁判所に設置される「部」によって決まる。1つの部には、一般に3～5人の裁判官が在籍し、各部には、部を統括するために裁判官の中から指名される「部総括判事」がいる（下級裁判所事務処理規則4条）。通常、部総括判事はその部で最もキャリアが長い裁判官が選ばれるが、裁判所内ではこの裁判官を「部長」と通称することが一般的である。

下級裁判所の合議体では、この部総括判事や支部長が裁判長に就任するものの、家庭裁判所においては家庭裁判所長が裁判長を務めることになる（下級裁判所事務処理規則5条2項）。なお、簡易[[裁判所]]には合議審が存在しないため、裁判長は存在しない。

裁判長と陪席裁判官の関係

地方裁判所の裁判長と高等裁判所の陪席裁判官は、キャリアの観点から見て同等である。実際、裁判官が昇進する過程の中で、地方裁判所の裁判長が後に高等裁判所の陪席裁判官になることや、その逆のケースも存在している。このため、地方裁判所の裁判長裁判官と高等裁判所の陪席裁判官は、身分的に同格とみなすことができる。

裁判長の具体的な役割

裁判長の主な役割は、合議体における評決権において他の陪席裁判官と同等でありながら、評議の主宰や整理を行うこと（裁判所法75条2項）が挙げられる。また、裁判長は合議体を代表して訴訟の指揮を行う責任も持っている。このため、裁判長の判断や進行が裁判全体において重要な影響を及ぼすことが多い。

関連項目

裁判長に関連する項目として、裁判官、判事や判事補、裁判所のシステム、合議審および単独審の制度がある。

外部リンク

• - 最高裁判所裁判事務処理規則（最高裁HP）
• - 下級裁判所事務処理規則（最高裁HP）
• - 『裁判長』 - コトバンク

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