観音埼灯台

観音埼灯台の概要と歴史

観音埼灯台（かんのんさきとうだい）は、神奈川県横須賀市、三浦半島の東端に位置し、日本の灯台の中で最も古い洋式灯台です。この灯台は、東京湾と浦賀水道の航行安全を確保する役割を果たし、東京湾海上交通センターとも連携しています。また、日本の灯台50選にも選ばれています。

灯台のデザインは白色の八角形で、周辺は県立観音崎公園として整備されており、自然環境が保護されています。着工日である11月1日は灯台記念日として指定されており、観音埼灯台の重要性を再認識させています。

歴史的背景

観音埼灯台は、1869年に初めて点灯されました。これは1866年の改税条約の結果として建設が約束された8つの灯台のうち、最初に完成したものです。この条約では、アメリカ、イギリス、フランス、オランダと日本の間でさまざまな貿易体制が見直され、それに伴い灯台の建設が進められました。

初代灯台

初代の灯台は、煉瓦造りの四角い洋館形式で、フランス人技師レオンス・ヴェルニーによって設計されました。灯台の屋上に八角形の灯塔が設けられ、高さは地上から灯火まで12.12メートルに達します。使用されていたのはフランス製の第3等フレネル式レンズで、光は14海里（約26km）まで届き、実効光度は1,750カンデラでした。

1868年11月1日に着工し、1869年の2月11日に初点灯を迎えました。この灯台は、その後も数回の改修や変更を経ながら利用され続けましたが、1922年の大地震により大きな亀裂が走り、取り壊しが決定されました。

2代灯台

初代灯台に代わり、2代目はコンクリート造りで再建されましたが、関東大震災（1923年）の影響により、わずか半年で崩壊してしまいました。再建された灯台は、5月4日に貞明皇后が訪問し、当時の重要なイベントとなりました。

3代灯台

その後、3代目の灯台がコンクリート造で再建され、1930年に完成しました。この灯台は現在まで使用されつづけており、近代技術に基づく遠隔監視システムも導入されています。1989年には完全に無人化が実施されました。

一般公開と周辺の見どころ

観音埼灯台は参観灯台として一般公開されており、見学料は大人300円、小人は無料です。展望台からは浦賀水道を行き交う船舶や対岸の房総半島を一望でき、多くの観光客が訪れます。

また、灯台資料展示室には、初代灯台の設計に関わったフランソワ・レオンス・ヴェルニーの胸像や灯台用の貴重な資料が展示されており、訪問者にとって興味深い学びの場となっています。

周辺には、初代海上保安庁長官大久保武雄の句碑や、高浜虚子の句碑などもあり、歴史を感じられるスポットが点在しています。

交通アクセス

観音埼灯台までのアクセスは、それぞれ京急本線の浦賀駅または馬堀海岸駅から湘南京急バス観音崎線を利用し、「観音崎」で下車後、徒歩20分ほどで到着します。また、映画『喜びも悲しみも幾歳月』のロケ地としても知られており、文化的なスポットともなっています。

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