越中八尾駅

越中八尾駅：歴史と文化が香る高山本線の駅

越中八尾駅は、富山県富山市八尾町福島に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）高山本線の駅です。特急「ひだ」の全列車が停車するほか、富山駅からの区間運転普通列車も運行されており、地域住民の足として重要な役割を担っています。

開業までの道のり：地域住民の熱意が結実

越中八尾駅は、地域住民の強い要望によって実現しました。1910年、飛越線（現・高山本線）建設の際に、八尾町長らが建設を熱心に陳情。その後も、地元住民による誘致運動が続けられ、1920年には政府の予定線路地図が改定され、八尾を通過する路線となりました。駅舎建設予定地についても、町の中心地に近い場所への建設が実現しました。紆余曲折を経て、1927年9月1日、富山駅との間で一般運輸営業を開始しました。当初は終着駅でしたが、1929年には笹津駅まで路線が延伸し、途中駅となりました。その後も、高山本線への編入（1934年）、東八尾駅の新設（1956年）、貨物取扱廃止（1971年）、荷物扱いの廃止と再開（1985年、1987年）など、様々な変化を経て現在に至っています。駅開業50周年を記念した式典（1977年）や、欅製の駅名標の設置（1979年）など、地域住民にとって重要な歴史が刻まれています。1993年には、駅東西を結ぶ跨線橋も完成しました。

駅の特徴：歴史を伝える木造駅舎と充実した設備

越中八尾駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線の地上駅です。島式ホームへは跨線橋で連絡しています。駅舎は木造建築で、開業当初からのものです。かつては七尾駅の旧駅舎を移築したとの説も伝えられています。歴史を感じさせる趣のある駅舎は、地域住民の誇りとなっています。みどりの窓口も設置されており（営業終了予定）、利便性の高い駅として機能しています。かつては売店もありましたが、2015年に閉店しました。

おわら風の盆と臨時列車：祭り情緒を高める運行体制

毎年9月1日から3日にかけて開催される「おわら風の盆」に合わせて、越中八尾駅を発着する臨時列車が運行されます。快速列車も含まれる場合があり、多くの観光客が利用します。コロナ禍以前は、始発列車の発車前にホームで「見送りおわら」というイベントも開催されていました。おわら風の盆の時期は、駅周辺も祭り一色となり、多くの人で賑わいます。

駅周辺：観光や生活を支える施設が充実

越中八尾駅周辺には、八尾の市街地が広がり、商店や飲食店が立ち並びます。また、JAあおば本店、八尾おわら資料館、越中八尾観光会館など、地域住民の生活と観光を支える施設が充実しています。観光客は、これらの施設を利用して、八尾の豊かな文化に触れることができます。牛岳温泉スキー場や富山県立八尾高等学校も近隣に位置しています。

アクセスと今後の展望：地域社会の重要な拠点として

越中八尾駅は、高山本線を利用して、富山方面や高山方面へのアクセスが可能です。今後、みどりの窓口の営業終了と無人駅化が予定されていますが、地域住民にとって、交通の要衝としての役割は今後も変わることがありません。歴史と文化が息づく越中八尾駅は、これからも地域社会の重要な拠点として、人々の暮らしを支えていくでしょう。

参考文献

澤井泰『高山線の全駅乗歩記』文芸社、2016年10月15日。ISBN 978-4-286-16551-6

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