辰斎年秀

辰斎年秀（しんさい としひで、安政6年〈1859年〉 – 没年不明）は、明治時代の浮世絵師です。その生涯については、まだ明らかになっていない部分が多く残されています。

来歴

辰斎年秀は、月岡芳年または中山年次の門人であったと伝えられています。『東洋絵画共進会出品目録』には、第六区の出品作として「淡彩農業」と「淡彩虎」の作者として「雑派　号年秀」という記載があり、本名は平岡光太郎、横浜翁町に住み、明治19年（1888年）の同展開催時には27歳であったと記されています。この「号年秀」と同一人物であると考えられています。

現存する作品としては、明治27年（1894年）とその翌年に版行された日清戦争を題材とした錦絵が確認されています。

作品

「日軍鳳凰城ヲ乗取図」　錦絵　※明治27年
「牛荘附近激戦之図」　大判錦絵3枚続　函館市中央図書館所蔵　※明治28年、伊藤伊三郎版

参考文献

「国芳とその一門関係年譜」『歌川国芳とその一門展』歌川国芳（画）、太田記念美術館（編）、太田記念美術館、1990年、75-81頁。
桑原羊次郎『浮世絵師人名辞書』教文館、松江、1923年、27頁。
『浮世絵人名辞典』清水澄（編）（再版）、美術倶楽部鑑定部、1978年。
『東洋絵画共進会出品目録』滝川守朗（編）、今古堂、東京、1888年4月、77-78頁。

辰斎年秀は、明治という激動の時代に、浮世絵師としてその才能を発揮しました。日清戦争という歴史的な出来事を題材にした作品は、当時の社会情勢や人々の関心を反映しており、貴重な歴史資料としての価値も有しています。今後の研究によって、彼の生涯や作品に関する更なる情報が明らかになることが期待されます。

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