近江塩津駅

近江塩津駅：北陸と湖西を結ぶ、滋賀県最北の鉄道の要衝

近江塩津駅は、滋賀県長浜市西浅井町余に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）の駅です。滋賀県で最も北に位置し、2022年9月末まではJR西日本近畿統括本部管区でも最北端の駅でした。北陸本線と湖西線の2路線が乗り入れ、特に近年は琵琶湖環状線構想の一環として、その重要性が増しています。

駅の歴史：深坂トンネルと路線変更

近江塩津駅が開業したのは1957年。木ノ本駅と敦賀駅間を結ぶ新線の開通と、この区間の交流電化完成と同時に開業しました。当初は小さな駅でしたが、1974年の湖西線開業により駅規模が拡大しました。

興味深いのは、駅開設に至るまでの経緯です。明治初期、北陸本線建設に際し、塩津ルートが検討されましたが、難工事となる深坂トンネルの掘削が困難となり、柳ヶ瀬越えルートに変更されました。しかし、輸送上のネックとなった柳ヶ瀬越えルートに対し、再び塩津ルートが検討され、深坂トンネルを含む新線が開通したのです。この深坂トンネルは5.1km以上にも及びます。

湖西線開業時は、敦賀駅と近江今津駅間を結ぶ気動車列車のみが運行されていましたが、現在では、米原方面と敦賀方面を結ぶ新快速や普通列車が運行されており、大阪方面や京都方面へのアクセスも良好です。

駅の構造：複雑な線路配置と拡張

近江塩津駅は3面5線のホームを持つ高架駅で、複雑な線路構造が特徴です。開業当初は2面3線でしたが、湖西線の建設に伴い拡張され、2021年には異常時用の0番のりばも供用を開始し、3面5線となりました。

ホームの配置も複雑で、北陸本線と湖西線の列車が行き交います。特に、新快速の折り返しや待避など、列車の運行計画は綿密に組まれています。

0番のりばは、大雪などの異常時に分岐器の不転換による輸送障害を防止するために設置されたもので、平常時は使用されません。深坂トンネルを含む長い構内と、分岐点のスノーシェッドも、積雪対策として重要な役割を果たしています。

駅舎と周辺環境

駅舎は湖西線建設時に現在の位置に移設され、線路より低い位置に建っています。ホームへのアクセスには急な階段を使用する必要があり、バリアフリー化が課題となっています。駅舎は「海道・あぢかまの宿」と合築されており、レンタサイクルの営業所も併設されています。

駅周辺は山に囲まれ、国道8号線が駅前を通っています。集落や水田が広がり、長浜市立塩津小学校、正応寺、大川神社などの施設があります。公共交通機関としては、西浅井コミュニティバスや湖国バスが利用できます。

琵琶湖環状線構想と近江塩津駅の役割

近年、滋賀県が進める琵琶湖環状線構想において、近江塩津駅は重要な役割を担っています。敦賀駅までの直流電化や列車増発、観光施策などにより、湖西線と北陸本線間の移動が容易になり、近江塩津駅での乗換客も増加傾向にあります。小学生を対象とした琵琶湖環状線体験学習などの取り組みも、利用促進に貢献しています。

まとめ

近江塩津駅は、複雑な歴史と線路構造を持つ、魅力的な駅です。琵琶湖環状線構想の進展とともに、その重要性はますます高まっており、今後ますます注目される存在となるでしょう。アクセス向上のためのバリアフリー化など、今後の発展にも期待がかかります。

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