那古寺

那古寺（なごじ）

那古寺は、千葉県館山市那古に位置する真言宗智山派の寺院です。山号を補陀洛山と称し、本尊には千手観世音菩薩を祀っています。この寺は、坂東三十三観音霊場の第33番札所、つまり結願寺として、多くの巡礼者や参拝者に親しまれています。通称として「那古観音」の名でも知られています。

歴史

寺伝によれば、那古寺の創建は、行基が元正天皇の病気平癒を祈願したことに始まります。行基がこの地を訪れ、千手観世音菩薩を安置して祈ったところ、天皇の病が癒えました。これを受け、天皇の勅命により寺が建立されたと伝えられています。長い歴史の中で、那古寺は多くの人々の信仰を集め、地域社会に深く根ざした存在となっています。

伽藍

那古寺の境内には、歴史と文化を感じさせる様々な建造物が点在しています。

仁王門: 寺の入口を守る、荘厳な門構えです。
観音堂（本堂）: 本尊の千手観世音菩薩が安置されている、寺の中心となる建物です。近年、千葉県指定有形文化財保存事業として大規模な改修が行われ、2010年10月には落慶法要が執り行われました。同年11月には、改修後初めて本尊が開帳されました。
多宝塔: 美しい姿を見せる多宝塔は、那古寺のシンボルの一つです。

文化財

那古寺は、数多くの文化財を所蔵しています。これらの文化財は、寺の歴史と文化的重要性を物語る貴重なものです。

重要文化財（国指定）

銅造千手観音立像: 鎌倉時代に作られた像高104.8cmの仏像です。その精巧な作りに、当時の高度な技術をうかがい知ることができます。

千葉県指定有形文化財

那古寺多宝塔 附:木造宝塔1基
那古寺観音堂 附:厨子1基 - 1994年（平成6年）2月17日に指定
絹本著色僧形八幡神像
木造阿弥陀如来坐像
繍字法華経普門品

館山市指定有形文化財

歌舞伎大絵馬 - 1988年（昭和63年）6月29日に指定
高瀬家古文書 - 1992年（平成4年）3月29日に指定

所在地・交通

所在地: 千葉県館山市那古1125
鉄道: JR内房線 那古船形駅下車 徒歩12分（約1km）
自動車: 富津館山道路 富浦ICより約10分（約3km）

札所

坂東三十三観音: 32 清水寺 (いすみ市) -- 33 那古寺（結願）
安房国札三十四観音霊場: 1 那古寺 -- 2 新御堂
* 関東八十八箇所: 55 円如寺 (君津市) 56 那古寺 57 真野寺 (南房総市)

那古寺は、豊かな自然に囲まれた静かな場所にあり、訪れる人々に心の安らぎを与えてくれます。歴史と文化に触れ、心静かに過ごせる場所として、ぜひ一度訪れてみてください。

本尊真言: おん ばざら たらま きりく そわか
ご詠歌: 補陀落はよそにはあらじ那古の寺 岸うつ浪を見るにつけても

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