那珂川町馬頭広重美術館

那珂川町馬頭広重美術館：歌川広重の世界と豊かな自然に囲まれた癒やしの空間

栃木県那須郡那珂川町に位置する那珂川町馬頭広重美術館は、歌川広重の肉筆画や版画を中心に、約4500点もの貴重な美術品を所蔵する町立美術館です。広重作品は94点を数え、中でも「天童広重」を含む肉筆画は40点以上と、全国の美術館の中でもトップクラスの所蔵数を誇ります。これに加え、小林清親、川村清雄、徳富蘇峰などの作品や関連資料も展示されており、多角的な視点から日本の美術史に触れることができます。

美術館設立の経緯：青木コレクションと町づくりの核

美術館の設立は、1996年に青木藤作氏遺族からのコレクション寄贈の申し出がきっかけでした。青木氏は実業家として成功を収めながら、広重作品を始めとする美術品の収集に情熱を注ぎ、徳富蘇峰とも親交を深めた人物です。そのコレクションは、歌川広重の肉筆画を中心とした貴重な作品群で、遺族の強い希望を受け、栃木県の援助を得て、馬頭町（現・那珂川町）に町立美術館を設立することが決定しました。美術館建設は、商店街と里山散策路に挟まれた公共性の高い土地を活用し、美術館を中心とした町づくり構想の一環として推進されました。

建築デザインと受賞歴：隈研吾氏の傑作

美術館の建物は、世界的建築家である隈研吾氏によって設計されました。木材をふんだんに使用した、自然と調和する洗練されたデザインは、林野庁長官賞、マロニエ建築賞、村野藤吾賞、BCS賞、日本建築学会作品選奨など、数々の建築賞を受賞しています。しかし、木材が風雨に曝されるデザインであったため、開館から24年が経過した2024年には老朽化が進み、大規模改修工事が不可欠となりました。改修費用約3億円はクラウドファンディングなども活用して調達されました。設計者である隈氏や建築エコノミストの森山高至氏からは、建設当時の材料選定や施工方法に関する様々な指摘がなされています。

美術館周辺：豊かな自然と食事処

美術館周辺には、蕎麦屋や洋食屋などの飲食店に加え、美術館併設のカフェ（不定休）もあります。自然豊かな環境に恵まれた立地で、美術館鑑賞と合わせて、ゆっくりと時間を過ごすことができます。散策路を歩くこともでき、自然と美術を満喫できる環境です。

開館時間、休館日、料金

開館時間: 午前9時30分～午後5時00分（入館は午後4時30分まで）
休館日: 月曜日、祝日の翌日、展示替え休館あり
入場料: 特別展：大人700円、高校生・大学生400円（20名以上団体割引あり）、企画展：大人500円、高校生・大学生300円（20名以上団体割引あり）、中学生以下無料。年に数回無料開放日あり。

アクセス方法

電車・バス: JR氏家駅、烏山駅、西那須野駅から関東自動車バスまたは那珂川町コミュニティバスを利用。
* 車: 常磐自動車道那珂インター、東北自動車道矢板インター、宇都宮インターから約1時間。JR宇都宮駅、JR那須塩原駅でレンタカーの利用も可能です。

那珂川町馬頭広重美術館は、貴重な美術品を鑑賞できるだけでなく、自然豊かな環境の中でゆったりと過ごせる、魅力的な場所です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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