那谷寺

那谷寺の魅力と歴史

那谷寺（なたでら）は、石川県小松市にある仏教寺院で、高野山真言宗別格本山として名高い場所です。この寺は、千手観世音菩薩を本尊とし、その秘仏は33年ごとに開扉されます。最近では、2017年に開創一千三百年大祭をきっかけに公開され、多くの訪問者を魅了しました。

歴史の深み

那谷寺の由来は、養老元年（717年）に遡ります。泰澄法師が夢の中で千手観音を見つけ、その姿を岩窟に安置したのが、その始まりとされています。この後、986年に花山法皇が訪れた際、この地の岩窟で三十三身の観音を見いだし、観音霊場の三十三カ所はすべてこの山に凝縮されていると感じました。これを受けて、寺名は「自主山厳屋寺」から「那谷寺」へと改名されました。

中世になると、寺は多くの困難に直面しました。南北朝時代には新田義貞の攻撃を受け、その後も浄土真宗への改宗が進むことで衰退しました。しかし、近世に入り、加賀藩の藩主・前田利常が伽藍を再建し、寺院の再興に尽力しました。

芭蕉の足跡

元禄2年（1689年）には、松尾芭蕉が弟子の河合曾良と山中温泉で別れた後、小松に戻る途中に那谷寺を訪れました。その際、奇岩霊石が望まれる景色を目の当たりにし、心に詠み残しました。「石山の石より白し秋の風」という句が境内に刻まれた句碑は、その記憶を今に伝えています。

境内の名所

那谷寺の境内には多くの重要な建造物があります。まず、大悲閣（本堂）は、岩窟内に造られた本殿や唐門、拝殿から成り、1597年に建立されました。また、三重塔は1642年に建てられ、荘厳な姿を見せています。さらに、護摩堂や鐘楼、書院なども歴史的な価値を持ち、特に書院及び庫裏、三重塔、護摩堂、鐘楼は重要文化財に指定されています。

普門閣もまた魅力的で、1847年ごろに建立され、昭和40年（1965年）に宝物館へと転用されました。美しい書院庭園や琉美園も訪れる価値があり、自然と歴史が調和した風景を楽しむことができます。

アクセスと拝観情報

那谷寺は北陸新幹線やIRいしかわ鉄道線の加賀温泉駅からタクシーで約15分の距離にあり、多くの路線バスも利用可能です。また、拝観時間は9:15から16:00までで、拝観料は大人1000円、小学生300円となっています。さらに、重文書院及び庭園の拝観には別途200円が必要です。

このように、那谷寺は歴史と自然が織り成す独特の雰囲気を持つ場所であり、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。仏教の精神とともに、古き良き日本の風景を体感するために、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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