野球ボール

野球ボール：規格、種類、そして「飛ぶボール」問題

野球は、硬式球、準硬式球、軟式球の3種類のボールを使用する競技です。使用するボールの種類によって、硬式野球、準硬式野球、軟式野球の3つの形態に分かれます。この記事では、主に硬式球に焦点を当て、その製造、規格、プロ野球における歴史、そして近年話題となっている「飛ぶボール」問題について詳細に解説します。

硬式球：製造と規格

硬式球、別名硬球は、コルクやゴムを芯に糸を巻き付け、牛革で覆い、縫い合わせて作られます。一般的に、縫い目は108個です。非常に硬いため、打球や死球が当たると怪我をする可能性があります。

日本のプロ野球（NPB）では、公式球の重量は141.7～148.8g、円周は22.9～23.5cmと規定されています。公式球は、コミッショナー事務局による反発係数の検査に合格したボールにのみ、日本野球機構のマークやホログラムシール、コミッショナーの署名などが印刷されます。検査は、時速270キロの速度でボールを打ち出し、その反発係数を測定する方法で行われます。基準値を満たしたボールだけが、公式球として使用されます。

プロ野球公式球の歴史と供給メーカー

NPBの公式球供給メーカーは、過去には複数社ありましたが、2011年以降はミズノ社が独占的に供給しています。これは、国際試合の増加や「飛ぶボール」問題への対応策として、ボールの規格を統一するためです。

MLBでは、1878年から1976年までスポルディング社が、1977年以降はローリングス社が公式球を独占供給しています。現在では、ローリングス社の工場で製造されたものが使用されています。MLBの公式球は、NPBの公式球よりも若干大きく、重いのが特徴です。

「飛ぶボール」問題

プロ野球の歴史において、製造過程の何らかの要因により、本来の規格よりも飛距離が伸びる「飛ぶボール」が登場することがありました。これらは、本塁打が増加し、ゲームバランスを崩すとして、しばしば批判の的となります。

過去の「飛ぶボール」事例

1910年（MLB）： コルク芯のボールが使用され、本塁打数が増加しました。
1948年～1950年（NPB）： ボール自動製造機械の導入により、精度が向上した結果、本塁打が増加しました。
1978年～1980年（NPB）： ミズノ社製のボールが、他社製品よりも飛距離が伸びるという問題が発生しました。
2000年代前半（NPB）： ミズノ社製のボールの反発係数が他社製品より高いという問題が発生しました。
* 2010年代前半（NPB）： 統一球導入後、ボールの反発係数が基準値を下回る問題が発生しました。その後、2013年に仕様変更が行われ、再び本塁打が増加しました。

統一球と問題点

NPBでは、2011年からミズノ社製の統一球が採用されました。しかし、MLBの公式球に比べて反発係数が低く、本塁打が激減するという問題が発生しました。2013年には、統一球の仕様が変更されたことが発覚し、大きな混乱を招きました。これにより、コミッショナーが辞任に追い込まれる事態にも発展しました。

今後の展望

NPBでは、公式球の反発係数基準値の変更や、検査方法の変更など、様々な対策が取られてきました。しかし、「飛ぶボール」問題、その背景にある製造技術や検査体制、そして公式球とゲームバランスの問題などは、今後も継続して議論されるべき課題です。

その他のボール

準硬式球は、硬式球と同じ芯の作りですが、表面にゴムを使用しています。軟式球は、中学生以上向けのm号球と、小学生向けのJ号球があります。また、軟式球に近い特性を持ちながら、硬式球への移行をスムーズにするために開発されたKボール（KWBボール）も存在します。

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