鏡餅(かがみもち)
鏡餅とは、日本の
正月に神仏に供える
伝統的な飾り物です。この
餅は穀物神である『
年神(歳神)』への
供物であり、
年神の
依り代としての意味が込められています。
鏡餅は、特に日本の
正月文化において重要な役割を果たしています。
名称の由来
鏡餅という名前の由来は、その形状が昔の
鏡に似ていることに由来します。古代の
鏡は
青銅製で丸い形をしており、神事に使用されていました。特に、
三種の神器の一つである
八咫鏡を象徴していると言われています。また、
鏡餅に添えられる橙(
ダイダイ)は
八尺瓊勾玉、串柿は
天叢雲剣に見立てられています。
歴史的背景
鏡餅は
平安時代から存在しており、特に『
源氏物語』にもその記載が見られます。
室町時代に
床の間が設置されるようになってから、現在の形で
鏡餅が供えられるようになりました。この時代、
武家では
鏡餅を
具足の前に供え、厄除けの象徴として大切に扱われました。
江戸時代になると、
鏡餅は一般家庭でも広まり、伴わせて干しずしや昆布、橙などがトッピングされるようになりました。このように、
鏡餅は時代を超えて日本の
伝統行事に寄与しています。
鏡餅の形と飾り方
鏡餅は一般的には、大小2つの丸い
餅と
ダイダイが使われますが、地域により様々なバリエーションがあります。たとえば、
餅が三段になっているものや、紅白を用いたもの、さらには
砂糖で作られた飾り物も存在します。飾り方には地域によってのバラエティがあり、例えば串柿を載せる地域や、
餅の間に譲葉を挟む場合もあるなど、個性豊かな展開が見られます。
飾る期間と注意点
鏡餅を飾る時期は、
12月28日が最適とされています。これは、八の字が末広がりに通じるためです。一方、
12月29日は「苦しむ」と
語呂合わせで避けられています。
鏡餅は松の内の間飾っておき、供え物ですので、飾った後は神仏に感謝を込めながら処分するのが一般的です。ただし、いくつかの地域では長く保つ風習もあるようです。
鏡開きの文化
正月が終了した後、
鏡餅は「
鏡開き」といって食用にされます。この際、
餅を割るのではなく「開く」と表現し、手や木槌で割って食べます。食べ方には、
汁粉や
雑煮、焼
餅にして楽しむ方法があります。
浄土真宗では、新年に
鏡餅を供えます。飾りつけの日や供え方は特定の作法に従い、本尊の前に
鏡餅を置いて
荘厳します。一般的な家庭でも場合によっては小さめの
鏡餅を供えます。
昔、
鏡餅は「
お年玉」として捉えられていました。歳神様からの恵みを家族で分け合うことが、その由来です。今日のように
現金が主流になる前は、
鏡餅のような
供物が子供たちに分け与えられていました。
まとめ
鏡餅は日本の
正月文化において中心的な存在であり、その歴史や供え方、飾り方は地域ごとに多様です。
正月の幸福を祈りながら
鏡餅を飾ることは、家族の絆を強める大切な習慣です。