長久手市文化の家

長久手市文化の家は、愛知県長久手市にある公立の文化施設です。1998年に長久手町文化の家として開館し、2012年の市制施行に伴い現在の名称となりました。市民が気軽に文化に触れ、創造的な活動を行う場として、地域に根ざした活動を展開しています。

設立の背景と理念

この施設の設立は、20世紀中頃にフランスで起こった「文化の家運動」に影響を受けています。市民にとって親しみやすく、まるで我が家のように感じられる文化施設を目指し、地域文化の発展に貢献するという理念が込められています。

1991年に建設事業が決定し、1994年には建設事務局が設置され、基本構想が策定されました。この基本構想では、施設名称が「長久手町文化の家（仮称）」と発表され、市民の期待が高まりました。

建築と施設概要

建物は、著名な建築家である香山壽夫氏によって設計されました。館内には、演劇やコンサート、美術展などに利用できる3つのホール（森のホール、風のホール、光のホール）があります。また、芸術文化空間であるアートリビング、会議室、レストランなども備えた複合施設として、多くの市民に利用されています。その優れたデザインは、第8回愛知まちなみ建築賞を受賞しています。

施設は地上3階、地下2階建てで、駐車場も屋内と屋外に合計300台を備えています。

各ホールの特徴

森のホール
馬蹄形に配置された384席から717席の可動席を備え、様々な形式の舞台公演に対応可能です。舞台と客席の一部が可動式で、式典や集会などにも利用できます。楽屋も9室併設されています。
風のホール
298席（可動席利用時は194席）を備え、演劇や小規模コンサートに適しています。可動式の音響反射板により、多様な音響効果を得ることができます。緞帳は愛知県立芸術大学の学生によるデザインです。楽屋も4室併設されています。

使用可能なピアノ

ベーゼンドルファー Model290 インペリアル
スタインウェイ Model D-274

主な自主事業

おんぱく

2004年から継続的に開催されている「おんぱく」は、長久手市の街づくりを目的とした自主事業です。音楽コンサートやワークショップを通じて、市民が音楽に触れ合う機会を創出しています。市民参加と大学連携による協力体制が特徴で、文化の家の職員だけでなく、アーティストや地域住民が主体的に関わっています。

劇王

「劇王」は、風のホールで開催される短編演劇イベントです。「上演時間20分以内、役者3名以内、数分で舞台転換可能」という条件で、劇作家が競い合います。観客と審査員の投票で優勝者が決定し、劇作家の名誉をかけた熱い戦いが繰り広げられます。

ながくてアートフェスティバル

「ながくてアートフェスティバル」は、アートを通じて人と人をつなぎ、まちを盛り上げるイベントです。文化の家だけでなく、長久手市内の各所でアート作品の展示や体験型ワークショップが開催され、地域全体がアートに包まれます。

アーティスト支援

契約アーティスト制度

文化の家では、若手アーティストを支援する制度を設けています。

創造スタッフ：高い芸術性を持つアーティストが、文化の家の事業企画や運営に携わります。
フランチャイズアーティスト：創造スタッフとしての経験を活かし、特定の分野で文化の家の事業を推進します。

アウトリーチ事業

文化の家は、地域の子どもたちや福祉施設利用者へのアウトリーチ活動も積極的に行っています。

小・中学校であーと：アーティストが小中学校に出向き、音楽演奏などの芸術体験を提供します。
ふくしであーと：福祉施設で質の高い音楽演奏を提供します。
児童館デリバリー：児童館でコンサートを開催します。

関係団体

文化の家には、様々な活動をサポートする関係団体があります。

長久手市文化の家フレンズ：文化の家の友の会組織で、会員はチケットの先行予約や割引などの特典を受けられます。
長久手市合唱団ニューセンチュリーコーラスNagakute：文化の家を拠点に活動する混声合唱団です。
長久手市劇団座☆NAGAKUTE：地域住民が演劇を学び、作品を発表する劇団です。
シネマ倶楽部：映画好きが集まり、映画上映会を企画しています。

関わりの深い著名なアーティスト

川上ミネ：長久手市出身のピアニストで、当施設でリサイタルも開催しました。
coba：長久手高等学校卒業生で、世界的に活躍するアコーディオン奏者です。
佃典彦：長久手高等学校の卒業生で、劇団座☆NAGAKUTEの講師も務めています。

愛知県立芸術大学との連携

文化の家は、愛知県立芸術大学と連携し、様々な事業を展開しています。

オペラ事業：大学の学生や大学院生によるレベルの高いオペラ公演を実施しています。
室内楽の楽しみ：大学の学生による室内楽コンサートを毎年開催しています。
デザイナー：デザイン専攻の学生が、文化の家の広報デザインを担当しています。

キャラクター

文化の家には、「ブラックトミー」という研修生キャラクターがいます。魔界からやってきた彼は、文化や芸術の調査をしながら、文化の家の活動を盛り上げています。

周辺施設

文化の家の周辺には、長久手市中央図書館、長久手消防署、リニモはなみずき通駅などがあります。

アクセス

リニモ「はなみずき通駅」から徒歩約7分。
地下鉄東山線「藤が丘駅」から車で約8分。
N-バス「文化の家」バス停下車すぐ。
* 名鉄バス「長久手文化の家北」バス停から徒歩約4分。

まとめ

長久手市文化の家は、地域住民にとってなくてはならない文化発信拠点として、多様な活動を展開しています。地域文化の振興に大きく貢献する施設として、今後も多くの人々に利用されることでしょう。

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