長篇怪獣映画ウルトラマン

『長篇怪獣映画 ウルトラマン』

1967年7月22日に公開された『長篇怪獣映画 ウルトラマン』は、特撮シリーズ『ウルトラマン』の初の映画作品となります。この映画は約75分の長さで、カラー映像とシネマスコープで制作されました。キャッチコピーは「シュワーッ！ ぼくらの味方ウルトラマン！ 怪獣どもをやっつけろ！」で、子供たちの心をつかむ力強いメッセージが込められています。

本作品は、特撮テレビ番組『ウルトラマン』が放送された後の劇場版として制作されたもので、作品には権利上の問題から再編集された部分があります。具体的には、円谷一が監督を務めたテレビシリーズの第1話、第8話、第26話、第27話の映像をオムニバス形式で編成し、ナレーションの変更はあるものの新たに撮影されたシーンは存在しません。また、オープニングタイトルはテレビ版の素材が使用されています。

映画内に登場するウルトラマンと宇宙怪獣ベムラーとの激しいバトルは、大幅にカットされて予告編に使用されるなどしていますが、ストーリー自体はテレビ版と同じです。この映画の魅力は、当時まだカラーテレビが普及していなかったため、多くの子供たちが白黒テレビで観ていた『ウルトラマン』をカラーで体験できることにありました。予告編では「ウルトラマンをカラーで見よう!!」と煽り、さらにウルトラマンのスーツアクターである古谷敏の名前も大きく表示され、期待感を増幅させていました。

新撮シーンは少ないものの、予告編ではフジ・アキコ隊員を演じる桜井浩子が通行人にインタビューする様子が撮影されました。また、『科学特捜隊』のメンバーたちのスチール写真も撮影され、ポスターなどのプロモーションに使用されています。このポスターに描かれたピグモンの写真は、ガラモンの写真を用いられ、チャンドラーの画像はペギラを加工したものです。俳優陣やウルトラマン、怪獣たちの名前も明記されており、特に若年層に人気を博しました。

1980年代にはビデオ化され、最初のシリーズの一部が流用されましたが、2005年にはDVDでオリジナル版が復活し、再び多くのファンに親しまれました。

登場する怪獣たちは、宇宙怪獣ベムラーや有翼怪獣チャンドラー、地底怪獣マグラーなど多彩で、観客を楽しませました。キャストには、小林昭二や黒部進、桜井浩子など、おなじみの顔ぶれが揃っています。また、音楽は「ウルトラマンの歌」が使用され、ファンに親しみのある印象を与えました。

この作品は東宝創立35周年の記念映画としても位置づけられており、『キングコングの逆襲』と同時上映されましたが、若年層には『ウルトラマン』の方が好評だったと言われています。特に、ハヤタ隊員役の黒部進は、他の作品でも活躍しており、その多才さが光ります。

長年愛され続ける『ウルトラマン』ですが、この映画もその人気の一端を担っています。今もなお、多くの作品が後に続いているこのシリーズにとって、映画版『ウルトラマン』は特別な存在だと言えるでしょう。

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