闘鶏

闘鶏（とうけい）

闘鶏は、雄のニワトリ同士を戦わせる競技で、古代からさまざまな地域で行われてきました。そのルーツを探ると、インダス文明の遺物には既に闘鶏が描かれており、最初期の家禽としてのニワトリと共にあったことが伺えます。特に、古代ギリシャでは、戦闘の士気を高める手段として闘鶏が利用されたと伝えられています。テミストクレスは、戦闘前に道端で行われる闘鶏を示して兵士たちを鼓舞し、その結果として公的行事としての闘鶏が定められました。

中国大陸では、周の時代には既に闘鶏が行われ、歴史的文献にもその痕跡が残っています。東南アジア、とりわけタイでは、軍鶏がその接戦能力で知られており、賭事とは別に、喪の行事として実施された時期もあったと言われています。アユタヤ時代のナレースワン王においては、闘鶏が戦争の運を占う手段として用いられ、今日に至るまでその伝統が受け継がれています。

イギリスでは、ヘンリー8世が闘鶏の試合ルールを制定した逸話があり、ボクシングの一部の階級名がここから由来したとも伝えられています。のちにはアメリカで闘鶏が賭博や動物虐待の観点から禁止されるようになり、さまざまな地域で法規制が進むことになります。

日本の闘鶏の歴史

日本における闘鶏の開始時期は不明ですが、最も古い記録は8世紀前半の『日本書紀』に見られ、貴族から庶民まで広く楽しまれてきました。平安時代には、貴族の間で正月後に行われる宮中行事として定着し、特に3月3日には「鶏合（とりあわせ）」として知られる催事が行われました。この際は、単なる闘鶏の競技ではなく、鶏の品評会のような様相を呈していました。

江戸時代の初めからはタイの軍鶏の輸入が進み、闘鶏はさらに盛り上がりを見せますが、賭博の対象となることが増え、これに伴い幕府は禁令を出すこととなります。明治時代には一部地域では法令によって禁止されたものの、全国的には多くの地域でかろうじて生き残ります。しかし、1948年に東京都などで闘鶏が禁止され、その流れは他の都道府県にも広がりました。

沖縄では、闘鶏によって傷ついた軍鶏が保護されており、闘鶏禁止の法整備が求められています。また、動物の保護に関する法律が適用されることから、闘鶏が虐待に該当するとされる見解も増えています。これらの動向を受けて、闘鶏の未来は法的規制が強化される流れにあることがうかがえます。

その他の地域における闘鶏

イラクでは、1920年代に外国から持ち込まれた闘鶏が実施されており、特にイスラム教徒の間では賭博に近い行為として非合法化されています。サダム・フセイン政権の下でも禁止されながらも、個別の農村などでは続けられてきました。

育成方法と武器

闘鶏に使用する雄鶏の育成には約7ヶ月から1年かかります。この過程では鶏が自由に動き回れる広いスペースを与え、筋肉や脚力を鍛えます。また、鏡に自己を映し出すことで敵意を育てるようなトレーニング方法も取り入れられています。特定の競技スタイルでは、蹴爪に鋼の刃を取り付けて威力を増すルールがあり、この場合、敗者は命を落とす危険があります。

闘鶏をテーマにした文化作品

日本や海外において、闘鶏は文学や映画など多くの作品で取り上げられています。「闘鶏」や「軍鶏」、「タウチー一代 蹴られた男」などが代表例であり、一部はテレビドラマとしても展開されています。これらの作品は、闘鶏独特の文化や歴史を反映した内容が多いです。このように、闘鶏は単なる娯楽を超えて、文化や法律、歴史に深く関わる一面を持っています。

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