雲母

雲母（うんも）

雲母は、ケイ酸塩鉱物の一種であり、きららとも呼ばれる光沢が特徴の鉱物です。この鉱物は層状珪酸塩（フィロ珪酸塩）鉱物のグループに属し、特に電気関連の用途においては英語の「マイカ」（mica）として知られています。この名称は、ラテン語の「micare」（輝く）に由来しています。1997年、国際鉱物学連合（IMA）による雲母小委員会が設置され、雲母鉱物の命名に関する最終報告が行われたことにより、黒雲母の再定義などが実施されました。

成分と種類

雲母の化学式は一般的に I M2-3 □1-0 T4 O10 A2 で表され、I, M, □, T, A はそれぞれ異なる元素を含みます。雲母の主要な成分は以下の通りです：
- I成分：主にカリウム（K）、ナトリウム（Na）、カルシウム（Ca）などが含まれ、バリウム（Ba）やリチウム（Li）なども見られます。
- M成分：アルミニウム（Al）、マグネシウム（Mg）、鉄（Fe）などが主成分であり、他にもマンガン（Mn）やチタン（Ti）が含まれます。
- T成分：主にシリコン（Si）やアルミニウム（Al）が多く存在します。
- A成分：水酸基（OH）、フッ素（F）、塩素（Cl）などが含まれています。

雲母は「純雲母」として分類され、多様な種類が存在します。以下は代表的な種類です：
- 白雲母（muscovite）：KAl2AlSi3O10(OH)2
- 黒雲母（biotite）：K(Mg,Fe)3AlSi3O10(OH)2
- リチア雲母（lepidolite）：K(Li,Al)3(Si,Al)4O10(OH)2

さらに、雲母には「脆雲母」や「層間欠損型雲母」など、多様な分類が存在します。これらの鉱物は主に変成岩や火成岩中に見られ、特に白雲母や黒雲母は広く知られています。

特性と産出地

雲母はその層状の構造により、薄く剥がれやすく、物理的には柔らかい特性を持ちます。モース硬度は2.5から3の間で、一般に比重は2.8から3.0程度です。この鉱物は電気絶縁性に優れ、高熱にも耐える特性があります。

雲母の産出地は主に変成岩や酸性火成岩であり、インドやブラジル、カナダなどが主な産地です。特に、商業的に利用するために合成マイカが生産されており、日本ではトピー工業が化粧品用のフッ素金雲母を製造しています。

用途

雲母は多岐にわたる用途を持ち、主に産業用の塗料や電気材料、化粧品、切削油などに利用されています。二酸化チタンでコーティングされたものは、耐候性や耐薬品性に優れ、化粧品や塗料に使われることが多いです。

また、低融点金属の鋳造や樹脂成形の際には離型剤としての役割も果たしています。そして、家電製品においては、発熱体を雲母板で絶縁した「マイカヒーター」として多くの製品で利用されています。このように、雲母は産業から日常生活に至るまで、広範囲に使用されています。

古墳時代の土器の装飾にも雲母が用いられており、また神仙思想においては仙薬の一種としても考えられた歴史があります。装飾用や化粧用としての特性から、今もなお、多くの分野で重宝されています。

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