食通:料理への深い造詣を持つ人物
食通とは、
料理の味覚や、
料理に関するあらゆる
知識に精通した人物を指します。単に美味しいものを食べるのが好きというだけでなく、
食材の産地や旬、調理法、歴史、著名な
料理人や美食家の評価など、多角的な視点から
料理を深く理解している点が特徴です。
フランス語ではgourmet(グルメ)という単語が使われ、より洗練された食への造詣を強調するニュアンスを持ちます。gourmetは、
ワインなどの専門
知識を持つ人物に対しても用いられることがあります。
食通と関連する概念
食通と似た言葉に「食道楽」があります。食道楽は、美味しいものを食べる行為そのものを楽しみ、趣味としている状態、あるいはそうした人物を指します。食通は
知識の深さや広さを重視するのに対し、食道楽は、食べる行為の喜びを重視する点で異なります。
著名な食通
歴史上、数多くの著名な食通が存在します。古代ローマの美食家アピキウスは、彼の名を冠した
料理書『アピキウス』を通じて、後世の美
食文化に大きな影響を与えました。フランスのブリア=サヴァランは、『美味礼讃』という美食に関する名著を著し、「どんなものを食べているか言ってみたまえ、君がどんな人間であるかを言いあててみせよう」という名言を残しました。彼は
ガストロノミー(美食学)という概念を提唱した人物としても知られています。中国の詩人で
料理書『随園食単』の著者である
袁枚、
江戸時代の漢詩人で
料理紀行『詩本草』を著した柏木如亭も、食通として名高い人物です。近代では、陶芸家としても知られる
北大路魯山人や、
小説家として食に関する多くの著作を残した
池波正太郎などが挙げられます。
池波正太郎は、食へのこだわりは深いものの、自ら「食通」と呼ばれることを好まなかったようです。
食通の都市
どの地域の
食文化圏の人が評価するかによって、美食都市の評価は異なりますが、
東京は世界有数の美食都市として広く認識されています。ミシュランガイドにおける星の数、
CNNによる報道などからも、その地位は確固たるものとなっています。
京都も、数多くの三ツ星レストランを有し、世界屈指の美食都市として評価されています。
ニューヨークや
香港なども、一流シェフが集まる美食都市として知られています。雑誌『Food & Wine』のランキングでは、
東京が革新的なレストランの多さと
食材の豊富さから、世界で一番グルメな都市に選ばれたこともあります。
食通のためのガイドブック
食通にとって、質の高いレストランや
食材の情報を得ることは重要です。ミシュランガイドやゴー・ミヨといった権威あるガイドブックは、世界中の美食家から高い信頼を得ています。ザガット・サーベイなども、レストランの評価を知るための有用な情報源です。
食通の概念は、それぞれの地域の
食文化と密接に関連しています。日本の伝統的な
食文化である日本
料理(江戸前の
蕎麦、
寿司、天ぷらなど)、
フランス[[料理]](特に宮廷
料理)、そして世界三大
料理に数えられる中華
料理、
フランス[[料理]]、トルコ
料理など、多様な
食文化が食通の興味の対象となります。B級グルメやご当地グルメといった大衆的な
食文化も、食通にとって重要な研究対象と言えるでしょう。近年では、グルメサイトなども食通にとって重要な情報源となっています。
早食い・大食いといった、ある意味では食通の対極にある文化も、
食文化の一環として捉えることができます。また、
料理やグルメをテーマにした漫画なども、
食文化の一つの側面として、食通の関心を集めています。
食の世界三大
食の世界三大珍味(
トリュフ、
キャビア、
フォアグラ)や世界三大
料理(中華
料理、
フランス[[料理]]、トルコ
料理)といった概念は、必ずしも普遍的なものではなく、地域や文化によって異なる評価がなされるため、その妥当性については議論の余地があります。