養命酒

養命酒：400年続く滋養強壮薬の物語

日本の伝統薬として知られる養命酒。その歴史、成分、効能、そして意外なエピソードまで、詳しく見ていきましょう。

14種類の生薬と伝統的な製法

養命酒は、14種類の生薬をベースに作られた第2類医薬品（滋養強壮保健薬）です。

使用される生薬は、インヨウカク、ウコン、ケイヒ、コウカ、ジオウ、シャクヤク、チョウジ、トチュウ、ニクジュヨウ、ニンジン、ボウフウ、ヤクモソウ、ハンピ、そしてウショウです。これらのうち12種類は日本薬局方、1種類は日本薬局方外生薬規格に適合しています。

これらの生薬は、味醂に冷浸する伝統的なチンキ剤製法を用いて抽出されます。アルコール、ブドウ糖、カラメルも添加されています。アルコール分は14％と、日本酒やワインと同程度ですが、医薬品であるため酒税法の規制対象外となります。

効能と服用上の注意

養命酒は、配合された生薬の作用により、滋養強壮効果があるとされています。しかし、血行促進作用があるため、手術直後や出産直後など、出血している状態での服用は禁忌です。また、アルコールを含有するため、車の運転や機械操作を行う前にも服用は控えるべきです。

服用方法は、成人1日3回、1回につき20mlを食前または就寝前に服用します。製品には計量カップが付属しているので、正確な量を測りやすい設計となっています。かつては小児への服用も推奨されていましたが、現在の用法・用量は成人向けのみとなっています。

400年以上の歴史と数々の逸話

養命酒の歴史は古く、17世紀初頭、長野県で庄屋を務めていた塩沢宗閑翁が、雪の中で倒れていた老人に薬用酒の製法を伝授されたことが起源とされています。1602年に「養命酒」の名で製造を開始し、1603年には徳川家康に献上されたという記録も残っています。

養命酒は、赤穂浪士も愛飲していたとされ、1774年刊行の小説『異国奇談和荘兵衛』にも登場するなど、歴史の中にその名を刻んできました。

1930年代、東京への進出は当初苦戦しましたが、地道な宣伝活動により、その後の売上は飛躍的に伸びました。山本五十六海軍大将の愛飲が海外進出を後押ししたことも、その歴史における大きな転機となりました。中国、マレーシア、シンガポール、ブラジルなど、世界各国へ輸出され、タイでは類似商品が現在も販売されています。戦後には、虚弱体質の子供向けの滋養強壮薬としても広く普及しました。

2009年末までは、酒類販売業者を通じてリキュールとしても販売されていましたが、市場の縮小に伴い販売は終了しています。

養命酒を取り巻く環境

養命酒は、単なる薬用酒ではなく、日本の歴史と文化、人々の健康を支えてきた長い歴史を持つ製品です。その歴史と伝統、そして現代に受け継がれる品質は、多くの人々に支持され続けている理由と言えるでしょう。これからも、多くの人々の健康に貢献していくことが期待されています。

関連情報

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