香蘭社

株式会社香蘭社の概要

株式会社香蘭社（こうらんしゃ）は、佐賀県西松浦郡有田町に本社を置き、高級陶磁器や電気絶縁体の製造を行う企業です。また、岐阜県多治見市にも工場を展開しています。1879年に設立されたこの会社は、有田焼（伊万里焼）の技術を活かして、磁器製の絶縁体を日本で初めて手掛けたことで知られています。設立は深川栄左ヱ門（8代目）により行われ、九州で初の企業法人とされています。

歴史

香蘭社のルーツは、1689年に遡ります。創業者の深川家の初代による陶磁器製造が始まり、その後、1870年には電信局の指示に従い磁器による電信用の絶縁体の製造に成功しました。77年には、有田の窯業者たちが協力して香蘭社を設立し、横浜に支店を開設。さらに、1876年にはフィラデルフィア万国博覧会に出品を行い、1878年の第4回パリ万国博覧会では金賞を受賞しました。

ここから、香蘭社は国内外の博覧会で数多くの受賞歴を持つことになります。1879年には経営陣の内部対立により、合本組織が解散し、深川栄左ヱ門が新たに香蘭合名会社を設立しました。その後も様々な支店を開設し、1880年代から1890年代にかけては外国市場への輸出を拡大していきます。

企業の成長と変遷

香蘭社は第二次世界大戦以前に国内の主要な磁器絶縁体メーカーの一つとして、日本全国に営業網を広げました。しかし、戦後は以前の販路を失い経営は厳しくなりました。経営の合理化と事業の再構築を経て、1959年には焼成プロセスの近代化を進めました。

1970年には株式会社香蘭社に組織変更し、1989年には新たな工房を設立するなど、事業を拡大していきました。また、2007年には5つの関連会社を合併し、事業基盤をさらに強化しました。

最近の動向

近年、香蘭社は創立140周年を迎え、2019年には北米最大のライフスタイル見本市「NY NOW」に出展し、最優秀新商品グランプリを受賞しました。また、2021年には新ブランド「by koransha」を立ち上げ、新たな市場開拓にも力を入れています。

ショールームと製品シリーズ

香蘭社のショールームは有田本店以外にも銀座や福岡に位置し、様々な製品を展示しています。同社の製品シリーズには「愁海棠」、「オーキッドレース」、「リンドフィールド」、「ローズガーデン」、「セイントジョーン」などがあります。特に、電気絶縁体の生産は売上の3分の1を占め、技術的にも重要な役割を果たしています。2015年には電気学会から「でんきの礎」としての顕彰を受け、一般の認知度も高まっています。

香蘭社はその歴史、技術、製品の質の高さから、多くの顧客に支持されています。今後も、セラミックス産業の発展に寄与していくことでしょう。

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