鬼葬

DIR EN GREY|DIR_EN_GREYのメジャー3rdアルバム『鬼葬』は、彼らの音楽性が大きく変化していく過程を示す作品として位置づけられます。

本作以降、DIR EN GREY|DIR_EN_GREYはヴィジュアル系という枠組みから脱却し、ハードコア・メタルへと音楽性をシフトさせていきます。アルバム全体を通して、それまでの作品とは異なり、より外向きでライブを意識した、直接的で分かりやすい表現を追求しています。

初回盤は特殊仕様となっており、ジャケットは銀色で、歌詞カードは全編カラー描写、英語詞で楽曲ごとに異なる字体が用いられています。日本語の歌詞は、ディスクを留めるケース部を外すと現れるという仕掛けが施されています。一方、通常盤はセピア調で、歌詞も通常通り掲載されており、ジャケットは白色です。

アルバムタイトルの『鬼葬』について、京は「鬼が赤いイメージで、葬が青いイメージ。その二つが合わさった感じ」と語っています。

収録曲は以下の通りです。

1. 鬼眼-kigan-: 花魁をテーマにした楽曲。後にアルバム『The Insulated World』で再構築されています。
2. ZOMBOID: コスプレマニアの男が同性愛者になっていく様を描いた楽曲。シングル「embryo」にはリミックスバージョンが収録されています。
3. 24個シリンダー: シングル「JESSICA」収録曲。
4. FILTH: 7thシングル。
5. Bottom of the death valley: アルペジオから始まるバラード。崖から転落自殺を図る女性の心情を描いています。ミニアルバム『THE UNRAVELING』で再構築されています。
6. embryo: 9thシングル。女性の視点から近親相姦をテーマにした物語が描かれています。
7. 深葬: 打ち込みサウンドと京のヴォイスが絡み合うSE。
8. 逆上堪能ケロイドミルク: シングル「FILTH」収録曲。
9. The Domestic Fucker Family: 京が作曲した珍しい楽曲。コーラスの掛け合いが特徴的です。シングル「朧」のカップリング曲として再構築されています。
10. undecided: アコースティックギターを取り入れたミディアムバラード。囁くような声と張り上げるような歌声が交互に登場します。シングル「GLASS SKIN」にアンプラグドバージョンが収録されています。
11. 蟲-mushi-: いじめをテーマにした、自虐的な歌詞が印象的な楽曲。アコースティックギターがメインで使用されています。
12. 芯葬: 短いSE。
13. JESSICA: 8thシングル。
14. 鴉-karasu-: タッピング奏法から始まる楽曲。静かなパートとヘビーなパートが交互に展開され、エログロな歌詞が特徴的です。ミニアルバム『THE UNRAVELING』で再構築されています。
15. ピンクキラー: 高速で突き進むナンバー。
16. 神葬: ピアノをフィーチャーしたSE。

歌詞の多くはエログロや失恋をテーマにしており、京は「特に言いたいこともない」と語っています。また、本作からシングル「かすみ」まで、初回盤には歌詞（歌詞カード）隠しが施されています。

『鬼葬』は、DIR EN GREY|DIR_EN_GREYの音楽性の変化を象徴するだけでなく、彼らの表現の幅広さを示す作品としても重要な位置を占めています。

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