鯖江市図書館

鯖江市図書館：地域に根ざした革新的な公共図書館

鯖江市図書館は、福井県鯖江市に位置する、地域密着型の公共図書館です。1979年の開館以来、長きにわたり市民の学習支援や文化振興に貢献しており、その特色ある取り組みや先進的なサービスは全国的にも注目を集めています。

近松門左衛門ゆかりの地、眼鏡産業のまちを反映したコレクション

鯖江市は、近松門左衛門が少年時代を過ごした地としても知られています。図書館では、近松門左衛門に関する書籍、伝記、研究書などを集めた専用のコーナーを設置し、約290冊の関連資料を所蔵しています。また、鯖江市の地場産業である眼鏡産業に関連する書籍やパンフレットも収集しており、地域の歴史と産業を深く理解するための貴重な資料を提供しています。郷土資料全体では、約1万7千冊の蔵書を誇ります。さらに、ビジネス支援を目的としたコーナーも設けられ、約1900冊の図書と148点のDVDがビジネスパーソンをサポートしています。

学校支援、児童支援への積極的な取り組み

鯖江市図書館は、子どもたちの読書活動を積極的に支援しています。地域ボランティアが運営する「かわだ文庫」や、学校図書館への図書配送サービス「ちかもん文庫」の運用など、独自の支援体制を構築。これらの活動は高い評価を受け、「かわだ文庫」は「子どもの読書活動優秀実践団体」として文部科学大臣賞を受賞、「鯖江市図書館」自身も「子どもの読書活動優秀実践図書館」として同賞を受賞しています。

学校図書館支援にも力を入れており、学校図書館支援員を配置し、図書の選定、配置、利用方法の指導、調べ学習のサポートなど、学校図書館の充実を支援。その結果、小学校への図書貸出冊数は飛躍的に増加しています。これらの取り組みによって、子どもたちの読書環境の整備に大きく貢献しています。

知的交流の場：さばえライブラリーカフェ

鯖江市図書館とさばえ図書館友の会が共同で企画・運営する「さばえライブラリーカフェ」は、サイエンスカフェをモデルとしたユニークな取り組みです。様々な分野の専門家を招いた講演会や交流会を開催し、地域住民の知的刺激と交流の場を提供しています。2013年には100回記念を迎えるなど、地域に深く根付いた活動となっています。この活動は、市民団体との連携による成功事例として、Library of the Year 2014優秀賞受賞に大きく貢献しました。

IT技術を活用した先進的な情報サービス

鯖江市は「ITのまちづくり」を推進しており、鯖江市図書館もその取り組みの一環として、積極的にIT技術を活用したサービスを提供しています。図書館空席情報アプリ「sabota」や、館内案内アプリ「さばとマップ」の開発・運用により、利用者の利便性を向上させています。これらの取り組みは、オープンデータ化の推進や、先進的な図書館サービスの提供という点で高く評価されています。さらに、視覚障碍者情報総合ネットワーク「サピエ」への加入により、音声資料や点字図書などの貸出サービスも開始しています。

歴史と変遷：単独館から複合施設へ

鯖江市図書館は、1979年に西山公園北側に開館。その後、1997年に鯖江市文化の館に移転し、図書館、視聴覚ライブラリー、映像情報館を備えた複合施設として生まれ変わりました。移転後も、全日開館やインターネット環境の整備、ゆうパックによる図書返却サービスなど、利用者の利便性向上のための様々な取り組みを実施。クラウド型図書館情報システムの導入など、最新の技術も積極的に取り入れています。

アクセスと施設情報

鯖江市文化の館は、鯖江市の中心部から車で約5分の場所に位置しています。JR鯖江駅には、鯖江市図書館の分室である「えきライブラリー tetote」も設置されており、利便性が向上しています。鯖江市図書館は、第4木曜日、年末年始、蔵書点検期間を除き、10時～18時（金曜日は20時まで）開館しています。貸出冊数は最大20冊、貸出期間は最大2週間です。福井県内在住者であれば誰でも利用可能です。

まとめ

鯖江市図書館は、地域に密着した活動、特色あるコレクション、先進的なIT技術の活用、そして市民参加型のイベントなど、多角的な取り組みで高い評価を得ている図書館です。その取り組みは、現代的な図書館運営の模範として、他の図書館にとっても参考となるでしょう。これからも、地域住民の学習支援と文化振興の中核として、更なる発展が期待されます。

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