鶴岡市立加茂水族館

鶴岡市立加茂水族館：クラゲ展示で世界を魅了する水族館

山形県鶴岡市にある鶴岡市立加茂水族館は、日本海に面した岬に建つ、県内唯一の市立水族館です。愛称は「クラゲドリーム館」。その名の通り、クラゲの展示種類は50種類以上と世界有数を誇り、その美しさと神秘的な魅力で多くの人々を惹きつけています。2008年にはクラゲの繁殖技術が評価され古賀賞を受賞、2012年には展示種類数でギネス世界記録に認定されるなど、クラゲ研究と展示における先駆的な存在です。

多様な海の生き物と触れ合える

クラゲ展示の他にも、庄内地方沖に生息する約140種類の魚類をはじめ、アザラシ、ペンギン、ラッコなどの海洋生物を飼育しています。アシカショーやウミネコの餌付けショーも人気で、子供から大人まで楽しむことができます。また、磯の生き物を展示したコーナーでは、実際に生き物に触れることも可能です。

苦難を乗り越え、市民に愛される水族館へ

加茂水族館は、その長い歴史の中で、幾度もの経営危機を経験しています。1930年に湯野浜温泉の組合が設立したのが始まりですが、戦時中に一時閉鎖、戦後は学校の校舎としても利用されました。1956年に水族館として復活するも、経営母体の変遷や営業休止など、数々の困難に見舞われました。しかし、館長の個人担保や市民からの寄付などの支援を受け、クラゲに特化した水族館として再起。現在では、年間50万人以上を集める庄内地方有数の観光地となっています。

クラゲ研究の最先端

加茂水族館は、単なる展示施設としてだけでなく、クラゲの飼育・繁殖に関する高度な技術を持つ研究機関としても注目されています。特に、排水溝でクラゲを吸い込まないように水流を調整する「加茂式水槽」は、その代表的な例です。その技術は、国内外の海洋生物研究者や水族館関係者からも注目され、頻繁に視察が行われています。

オワンクラゲと下村脩博士

2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩博士の研究対象となったオワンクラゲを展示していることでも有名です。下村博士が、同館で飼育されているオワンクラゲが人工繁殖で発光しなくなったことを知り、発光に必要な物質をアドバイスしたエピソードは、大きな話題となりました。また、下村博士が推薦したピアノ曲「Dance of the Aequorea」が館内BGMとして使用され、パネルコーナーも設けられています。

ハッポウヤワラクラゲの発見

2012年には、世界初となるハッポウヤワラクラゲの発見と命名も行われました。この発見は、クラゲ研究における新たな知見として、学会からも注目されています。

主要施設

クラネタリウム：30種類以上のクラゲを展示する世界有数のクラゲ展示施設。ケサランパサランも展示されています。
クラゲプラネット：約2000匹のミズクラゲが泳ぐ円形水槽。
アザラシ、ペンギンプール：愛らしい姿を見ることができます。
ラッコプール：人気のラッコが泳ぐ姿を観察できます。
ウミネコ餌付けコーナー：ウミネコに餌をあげることができます。
アシカショーコーナー：アシカのパフォーマンスを楽しむことができます。
磯コーナー：磯の生き物に触れることができます。
魚匠ダイニング沖海月：クラゲを使った様々な料理を提供するレストラン。

歴史

1930年：山形県水族館として開館
1944年：戦時下で閉鎖
1956年：鶴岡市立加茂水族館として再開館
1967年：庄内浜加茂水族館に改称
1971年：経営難で閉鎖
1972年：市民の支援で再開館
2002年：鶴岡市立加茂水族館に名称復帰
2005年：クラゲ展示種類数で世界一に
2014年：新館「クラゲドリーム館」開館

アクセス

鉄道：JR羽越本線鶴岡駅からタクシー約20分
バス：鶴岡駅前から加茂水族館行きバスで約30〜40分
自動車：山形自動車道鶴岡ICから約15分、日本海東北自動車道庄内空港ICから約17分

加茂水族館は、クラゲの美しい展示だけでなく、その歴史や研究成果、そして市民からの愛着も魅力的な水族館です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

もう一度検索