黒岩悠

黒岩悠騎手：障害競走界の星

黒岩悠騎手は、1983年高知県生まれのJRA栗東トレーニングセンター所属の騎手です。幼少期に父に連れられて高知競馬場を訪れたことがきっかけで競馬に魅せられ、中学時代に騎手を目指すことを決意しました。

2002年、競馬学校18期生として栗東・吉岡八郎厩舎からデビュー。同期には田辺裕信、五十嵐雄祐らそうそうたる顔ぶれが名を連ねています。当初は高知出身の福永甲厩舎への所属を予定していましたが、事情により吉岡厩舎からのスタートとなりました。デビューイヤーから平地競走だけでなく、障害競走にも果敢に挑戦。2年目の2003年には自己最多となる17勝を記録し、早くからその才能をいかんなく発揮しました。同年のナムラエキスプレスでの障害初勝利、小倉サマージャンプでの3着入線は、彼のキャリアにおける重要な転換点となりました。

しかし、2004年には落馬事故により骨盤骨折の大怪我を負い、長期にわたる休養を余儀なくされます。この経験は、黒岩騎手の騎手人生に大きな影を落とすも、同時に、彼の強い意志と不屈の精神を培うことにも繋がりました。

見習騎手期間を終えた2005年以降は、平地競走での騎乗機会が減少する中、彼は障害競走に活路を見出していきます。2008年にはドールリヴィエールとのコンビで三木ホースランドジャンプステークスを制覇し、初の特別競走勝利を挙げました。続く2009年には同馬でJ・GI競走初騎乗という経験も積んでいます。

その後、2009年と2010年は未勝利に終わり、引退も考えた時期もありましたが、清水久詞調教師からの誘いを受け、調教助手として厩舎に籍を置くことになります。この期間、彼は調教を通して騎手としての新たな視点と技術を磨き上げました。特に、キタサンブラックの調教に携わった経験は、彼のキャリアにおいて大きな財産となりました。キタサンブラックはGI競走7勝を挙げ、獲得賞金歴代1位の記録を打ち立て、その輝かしい活躍の裏には、黒岩騎手の献身的な努力と卓越した技術があったのです。主戦騎手であった武豊騎手からも絶大な信頼を得ており、「彼に任せておけば問題ない」と評されるほどでした。キタサンブラックのラストランとなった有馬記念後のお別れセレモニーにも登壇し、武豊騎手から「黒岩君の指示通り乗って勝てました」と感謝の言葉を贈られたことは、黒岩騎手の技術の高さを物語っています。

2021年には、新潟競馬場での障害競走で1日2勝を記録。東京ジャンプステークスでは惜しくも2着に終わりましたが、その実力は着実に認められていきました。そして、2022年7月30日、新潟ジャンプステークスでホッコーメヴィウスとのコンビで念願の重賞初制覇を果たしました。派手なガッツポーズこそありませんでしたが、その喜びは彼の言葉の端々に感じ取ることができました。その後も重賞で好成績を収め続け、この年だけで障害競走9勝を挙げました。

そして、2023年4月15日、中山グランドジャンプでイロゴトシに騎乗し、単勝6番人気ながら圧勝。自身とイロゴトシにとっても初のGI競走制覇という歴史的な快挙を成し遂げました。さらに翌2024年にもイロゴトシとのコンビで同レースを連覇するなど、その実力と経験を証明しています。

黒岩騎手は、競馬に対する情熱、そして常に前向きな姿勢を持ち続けています。彼の活躍は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けています。

エピソード：麻雀好きと後輩への深い愛情

黒岩騎手は競馬だけでなく、麻雀も趣味としており、片山まさゆき主催の麻雀大会「GPC関西著名人リーグ」にも参戦した経験があります。Mリーグのユニフォームを着てメディアに登場するなど、そのユニークな一面も魅力の一つです。

また、2024年の中山グランドジャンプ連覇の際には、故・藤岡康太騎手への深い友情と哀悼の意を表し、多くのファンを感動させました。レース直後、藤岡騎手への感謝を述べ、その言葉は多くの人の心を打ったことでしょう。

黒岩悠騎手の今後の活躍に、多くの期待が寄せられています。彼の騎乗スタイル、人となり、そして数々のエピソードは、これからも多くの競馬ファンを魅了し続けることでしょう。

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