Α-フェトプロテイン

α-フェトプロテイン（AFP）について

α-フェトプロテイン（AFP）は、糖蛋白の一種で、主に胎児の肝細胞や卵黄嚢で生成されます。この分子は約70,000の分子量を持ち、ヒトの4番染色体に位置するafp遺伝子によってコードされています。特徴的なのは、健康な成人の体内では通常はほとんど産生されないという点です。

AFPの医療における重要性

AFPは、主に腫瘍マーカーとして医療の現場で活用されています。通常、健常な成人においてはそのレベルは非常に低いため、異常が確認された際には何らかの疾患の指標となることが多いのです。特に、肝細胞癌や肝芽腫、さらにはヨークサック腫瘍といった腫瘍細胞が AFP を産生することが分かっており、これらの疾患の診断や治療経過の評価において重要な役割を果たします。

加えて、まれなケースではありますが、肺癌や胃癌においても AFP が生成されることがあります。したがって、AFP の測定は多くの癌の早期発見に寄与する可能性があると考えられています。

AFPの分画とその応用

AFPは、その糖鎖構造の違いに基づいて分けられることがあります。特に、レンズ豆のレクチンとの親和性の差異を利用して異なる分画を得ることが可能です。これらの分画の中で、L3分画と呼ばれるものは特に肝細胞癌の浸潤に密接に関連しており、しばしばそのレベルが上昇することが確認されています。これにより、L3分画は肝細胞癌の診断において有用な指標となることがあります。

AFPと他の腫瘍マーカー

肝細胞癌の診断に関しては、AFPはPIVKA-IIと呼ばれる他の腫瘍マーカーとともに使用されます。これらのマーカーの組み合わせにより、肝細胞癌の早期発見や治療効果のモニタリングが行われるため、正確な診断が求められる医療現場では非常に重要です。

結論

α-フェトプロテインは、胎児の健康な発育に関わる重要な糖蛋白であるだけでなく、医療分野においては腫瘍の指標としても広く使用されています。その利用法は多岐にわたり、特に肝細胞癌や他の腫瘍における検査において貴重です。今後の研究によってさらに深く理解され、より活用されることが期待されています。

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