Ι

ギリシア文字のイオタ（Ι, ι）は、ギリシア語アルファベットの9番目の文字です。古代ギリシア語ではἰῶτα（イオータ）、現代ギリシア語ではιώτα（イオタ）またはγιώτα（ヨタ）と呼ばれます。英語では「iota（アイオゥタ）」と発音します。

数価と起源
イオタは数価として10を表します。この文字は、ラテンアルファベットのIとJ、キリル文字のІ, Ї, Јの起源となっています。特に、ラテン文字の「J」は、イオタに由来する名称で呼ばれることがあります。フェニキア文字の𐤉（ヨード）がイオタの起源です。フェニキア文字では半母音/j/を表していましたが、古代ギリシア語には独立した音素としての/j/が存在しなかったため、母音/i/を表すために転用されました。

音声
古代ギリシア語では、イオタは/i/または/iː/の音を表すために使用されました。また、二重母音の第二要素としても使われましたが、第一要素が長母音の場合には、紀元前200年ごろに/i/音が消滅しました。ビザンチン時代には、主母音の下に「ι」が書かれるようになり、これを下書きのイオータと呼びます。
現代ギリシア語では、イオタは単独で/i/の音を表します。また、ε, ο, υの後に置かれた場合（ει, οι, υι）も/i/と発音されますが、αの後に置かれた場合（αι）は/e/と発音されます。

記号としての用法
小文字の「ι」は、様々な分野で記号として使用されます。

数学:
恒等写像を表す記号として用いられます。
物理学:
微小であることを示す記号として用いられます。

その他の情報

イオタは、ギリシア文字の中でも重要な文字の一つであり、その形状や音声は、様々な言語のアルファベットに影響を与えました。特に、ラテンアルファベットのIとJは、イオタに直接的な起源を持っています。この文字は、数学や物理学でも使用される記号として、広く認知されています。

参考文献

W. Sidney Allen (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558

関連項目

下書きのイオータ

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