⑤計画

大日本帝国海軍のマル5計画

マル5計画は、大日本帝国海軍による艦艇建造計画の一環として位置付けられ、正式には「第五次海軍軍備充実計画」と呼ばれています。この計画は昭和16年に策定され、昭和17年から25年までの9年にわたる期間で実施される予定でした。

1. 概要と背景

昭和13年頃、日本は既に進行中の③、④計画を踏まえて、さらなる海軍力の整備を目指す新たな構想に着手していました。この時期、海軍力の強化は国家の重要な課題とされており、推進された計画の中心には戦艦や航空母艦、重巡洋艦が含まれていました。

具体的には、「昭和25年初頭における保有艦船一覧表」によれば、当初のマル5計画では戦艦2隻、空母2隻、重巡洋艦2隻を中心に据える内容が想定されていました。しかし、アメリカの「第二次ヴィンソン案」によって日本の艦艇建造計画は大きな影響を受け、更なるアメリカの海軍力強化によって日本海軍に対する優位性が確立されていきました。

第二次世界大戦が勃発した1939年以降も、アメリカは海軍戦力の大規模な増強を進め、特に「スターク案」は連合艦隊の総戦力に匹敵するほどの規模で海軍力を70％増強する計画でした。こうした背景の中、帝国海軍はマル5計画をもとに、さらなる艦艇建造を二段階で行うことを決定します。

2. マル5計画の詳細

マル5計画における艦艇の軍備推定経費は約44億円であり、航空軍備については約20億円、軍備拡大に伴う生産能力向上のために19億円、教育機関用の設備には5億円が見込まれていました。総じて、航空戦力が重視される中、この計画における艦艇の建造は進行しませんでした。

特に、昭和16年に航空本部長の井上成美中将が、戦艦よりも航空戦力を重視するよう指摘したことが影響し、計画はその後に空母中心の改⑤計画に改定されることとなりました。この改訂は、太平洋戦争開戦の影響も受け、航空母艦に重点が置かれる形で進められることになります。

3. 計画の艦艇と航空兵力

マル5計画の艦艇の分類は以下の通りです。

• - 戦艦:

- 改大和型 - 1隻
- 超大和型 - 2隻

• - 航空母艦:

- G14型 - 3隻

• - 巡洋艦:

- 超甲型巡洋艦 - 2隻
- 改阿賀野型軽巡洋艦 - 5隻
- 815号型軽巡洋艦 - 4隻

この他に、水上機母艦、飛行艇母艦、駆逐艦、潜水艦等が多数計画され、総数159隻に達しました。航空兵力に関しては、陸上戦闘機336機、戦闘機兼爆撃機240機、水上戦闘機288機など、合計3458機が含まれる計画でした。

4. まとめ

マル5計画は、帝国海軍の艦艇建造の重要な計画であり、特に航空戦力の強化が求められた時代背景を反映しています。開戦後の日本の海軍戦略の変遷は、この計画の見直しに影響を与え、最終的には空母中心の艦隊編成へと移行しました。しかし、当時の艦艇建造の実現には至らず、結果的に歴史の中で未遂に終わった部分も多く存在しました。

もう一度検索