「僕にできること」いま歌うシリーズ

アルバム概要

『「僕にできること」いま歌うシリーズ』（ぼくにできること いまうたうシリーズ）は、日本のミュージシャンであるASKAが手掛けたカバーアルバム作品です。このアルバムは、2012年12月22日の仙台サンプラザ公演を皮切りに、自身のコンサート会場での限定先行販売が行われた後、2013年3月27日にユニバーサル シグマより一般発売されました。

制作背景と目的

ASKAは近年、自身のコンサートにおいて、幼少期から親しみがあった昭和歌謡の名曲をカバーして披露する機会を増やしていました。そのような活動の中、2011年3月11日に発生した東日本大震災を受け、被災地への支援に繋がる活動として、レコーディングしたカバー音源を配信し、そこから得られる収益を寄付することを考案しました。これが「いま歌う」シリーズの始まりとなります。

2011年4月には、その第一弾として「廃墟の鳩」と「上を向いて歩こう」がiTunes Storeで配信されました。以降も継続的にカバー楽曲の配信リリースが続けられ、本作はそれらの配信されてきた楽曲に加え、新たに録音された未発表のカバー音源を加えて構成されたアルバムです。

このアルバムは「東日本大震災復興支援アルバム」と銘打たれており、作品から発生するASKA個人の収益は全額が寄付金として、国際的な子ども支援専門のNGOであるセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを通じて、被災地の復興支援活動に活用される仕組みとなっています。

収録曲解説

本作には、ASKAが選曲・カバーした珠玉の昭和歌謡を中心に、以下の楽曲が収録されています。各曲にはASKA自身のコメントなどが寄せられています。（コメント内容は『僕にできること（いま歌うシリーズ） Official Web Site』を参照）

君は薔薇より美しい: 布施明が1979年に発表したヒット曲。ASKAが2005年から2006年にかけて行ったコンサートツアー『ASKA Concert Tour 05>>06 My Game is ASKA』でこの曲を披露したことが、その後のコンサートでカバー曲を演奏する機会が増えるきっかけの一つとなりました。

巴里にひとり: 沢田研二が1975年に発表した楽曲。沢田本人がフランス語で歌った「MON AMOUR JE VIENS DO BOUT DU MONDE」というバージョンも現地で発売されています。ASKAはこの曲を高校生の頃に聴き、その洒落た雰囲気に感銘を受けたといいます。

木綿のハンカチーフ: 太田裕美が1975年に発表し、その年の年間売上でも上位に入る大ヒットとなった楽曲です。ASKAは2012年のコンサート『ASKA CONCERT 2012 昭和が見ていたクリスマス!? Prelude to The Bookend』や、続くツアー『ASKA CONCERT TOUR 12>>13 ROCKET』でこの曲を披露しています。また、CHAGE&ASKAの楽曲「no no darlin'」を作詞する際に、この曲が脳裏に浮かんだことがアルバム『GUYS』のブックレットに記されています。

さらば恋人: 堺正章が1971年に発表し、第13回日本レコード大賞で大衆賞を受賞した名曲です。ASKAにとって、最も歌謡曲に夢中になっていた時期の代表的な楽曲の一つであると述べています。

廃墟の鳩: ザ・タイガースが1968年に発表したシングル曲。ASKAは2009年のコンサート『THE MELODY YOU HEARD THAT NIGHT 昭和が見ていたクリスマス』でもこの曲をカバーしています。本作への収録にあたり、震災後の「現状と重なる部分がたくさんある曲」だとコメントしています。

上を向いて歩こう: 坂本九のシングル曲で、日本国内のみならず、「SUKIYAKI」のタイトルでアメリカでもヒットチャート1位を獲得するなど、世界的にも広く知られた名曲です。1961年に発表されて以来、数多くのアーティストによってカバーされています。この曲は「いま歌う」シリーズにおいて、ASKAが最初に取り組んだ楽曲でもあります。

生きがい: 由紀さおりが1970年に発表したシングル曲。ASKAは2009年のコンサート『THE MELODY YOU HEARD THAT NIGHT 昭和が見ていたクリスマス』でも演奏しています。男性に尽くす女性の心情を描いた歌であり、ASKAは歌唱する際に「精一杯抑え目にやさしく歌わせてもらった」と語っています。

蒼い星くず: 加山雄三が1966年に発表したシングル曲。ASKAはレコーディング後、原曲者の加山に完成した音源を聴いてもらう機会があり、その際にお褒めの言葉を頂けたことに非常に恐縮したというエピソードがあります。

七色のしあわせ: ピンキーとキラーズが1969年に発表したシングル曲です。ASKAは2009年のコンサートツアー『ASKA CONCERT TOUR 2009 WALK』では、同じピンキーとキラーズの楽曲である「恋の季節」をカバーしていました。

旅人よ: 加山雄三の代表曲の一つで、1966年に発表されたシングル「夜空を仰いで」のB面に収録されました。ASKAは1997年に発売された加山雄三の還暦祝いトリビュートアルバム『60 CANDLES』において、「夜空を仰いで」をカバーしています。

ここに幸あり: 大津美子が1956年に発表し、同名映画の主題歌としてもヒットした楽曲です。2012年のコンサート『ASKA CONCERT 2012 昭和が見ていたクリスマス!? Prelude to The Bookend』でも演奏されました。本作でのレコーディングにおいては、自身のアルバム『SCENE』に収録されている「蘇州夜曲」や「伝わりますか」といった楽曲で表現された雰囲気をイメージして制作されたと語っています。

見上げてごらん夜の星を: 1960年に同名ミュージカルの主題歌として発表され、1963年に坂本九がシングルとして発売し広く知られることになった楽曲です。こちらも多くのアーティストによってカバーされています。ASKAは2012年のコンサート『ASKA CONCERT 2012 昭和が見ていたクリスマス!? Prelude to The Bookend』でこの曲をコンサートの最後に披露しており、本作でもアルバムのラストを飾る楽曲として配置されています。

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