「星くず兄弟の伝説」オリジナル・サウンド・トラック

『「星くず兄弟の伝説」オリジナル・サウンド・トラック』は、1985年（昭和60年）6月5日にリリースされた日本のサウンドトラックアルバムです。

このアルバムは、ミュージシャンである近田春夫が1980年（昭和55年）10月25日に発表したコンセプトアルバム『星くず兄弟の伝説』を原案として、手塚眞が監督を務めた同名映画『星くず兄弟の伝説』のために制作されました。

映画の原案となった近田春夫による1980年のオリジナルアルバムは、同名のシングルがアルバムと同時に発売され、映画『ニッポン警視庁の恥といわれた二人 刑事珍道中』（1980年）の主題歌としても使用されています。

本サウンドトラックは、映画に登場する個性豊かなキャラクターたちが実際に歌唱しているというユニークな設定で構成されているのが大きな特徴です。プロデュースは原案者でもある近田春夫が担当しました。

歌唱や演奏には、映画で主要キャストを務めたミュージシャンたちが多数参加しています。久保田しんご（現在の名義は久保田慎吾）は「シンゴ」名義、高木一裕（現在の名義は高木完）は「カン」名義でクレジットされており、この二人が組んだ際には「スターダスト・ブラザース」名義が用いられています。また、戸川京子は「マリモ」、ISSAY（DER ZIBET）は「虹カヲル」、尾崎紀世彦は「アトミック南」と、それぞれ映画での役名やキャラクター名義で参加しています。

収録曲の構成も、原案アルバムと本作との関係性を示しています。近田春夫の1980年のアルバムに収録されていた楽曲のうち、表題曲である「星くず兄弟の伝説」をはじめ、「強敵アトミック」、「ガソリンの雨」が久保田しんご演じるシンゴと高木一裕演じるカンによって歌い直されています。久保田しんごは「往年のバラード」を、尾崎紀世彦演じるアトミック南は「若者達の心にしみる歌の数々」をそれぞれ再録しています。また、「モニター」と「クレージー・ゲーム」は、演奏にも参加している赤城忠治によってリメイクされました。

一方、このサウンドトラックのために新たに書き下ろされた楽曲も収録されています。戸川京子演じるマリモには「マリモの気持ち」、ISSAY扮する虹カヲルには「ピースマーク・ベイビー」、そして尾崎紀世彦演じるアトミック南には「本物のスター」という3曲が制作され、それぞれのキャラクターの個性を反映しています。

さらに、インストゥルメンタル曲「星くず兄弟のテーマ」もこのアルバムのために新録されています。演奏には、赤城忠治や、LONDONからの帰国組で元ピンナップスのギタリストである江蔵浩一が参加したほか、アルバム収録曲のうち4曲の編曲を手がけたバンド「サンバンブー」も参加しており、そのメンバーには元ビブラトーンズのギタリスト岡田陽助の名も見られます。

本作からは、「スターダスト・ブラザース」名義で、表題曲「星くず兄弟の伝説」（カップリングは「ガソリンの雨」）がシングルとしてもカットされました。

後年、このサウンドトラックは再び注目を集めます。2018年1月10日には、映画の続編にあたる『星くず兄弟の新たな伝説』のサウンドトラックとカップリングされる形で、CD2枚組のオリジナル・サウンドトラック盤として再発売されました。規格品番はDDCZ-2186です。

本作に関連する項目としては、この映画の原案となった1980年の近田春夫による同名アルバム、手塚眞監督による映画『星くず兄弟の伝説』自体、そしてこの映画に影響を与えたとされるブライアン・デ・パルマ監督の映画『ファントム・オブ・パラダイス』などが挙げられます。

もう一度検索