あの娘が泣いてる波止場

あの娘が泣いてる波止場

「あの娘が泣いてる波止場」（あのこがないてるはとば）は、昭和を代表する歌手、三橋美智也が1955年に発表したシングル楽曲です。作詞は高野公男、作曲は船村徹という、当時の歌謡界を牽引したヒットメーカーコンビが手掛けました。

誕生とヒットの背景

この楽曲は、三橋美智也の「ご機嫌さんよ達者かね」、春日八郎の「別れの一本杉」に続く、高野・船村コンビによる作品として発表されました。発表当初から大きな注目を集めましたが、特に釜石港に定着する漁船の乗組員の間で口コミが広がり、その人気に火が付きました。

漁師たちの間で共感を呼んだのは、望郷の念や港に集う人々の哀愁を帯びた情景を歌った歌詞、そして、三橋美智也の情感豊かな歌声が見事に融合したことによるものでしょう。最終的には180万枚を売り上げ、三橋美智也を代表する大ヒット曲の一つとして、その名を歌謡史に刻みました。

映画化

1956年には、東宝によって同タイトルの映画が制作・公開されました。三橋美智也自身も劇中に「真太郎」という役で出演し、スクリーンデビューを飾っています。歌の世界観を映像で表現したこの映画もまた、多くの人々に感動を与え、楽曲の人気をさらに高めることとなりました。

収録曲

小島の鴎
作詞:高橋掬太郎／作曲:吉田矢健治
あの娘が泣いてる波止場
作詞:高野公男／作曲:船村徹

カバー

「あの娘が泣いてる波止場」は、時代を超えて多くの歌手にカバーされています。以下はその一部です。

春日八郎（1970年） - アルバム『黄金の歌声 春日八郎 三橋美智也を歌う』収録
ちあきなおみ（1972年） - アルバム『もうひとりの私』収録
鳥羽一郎（1983年） - アルバム『兄弟船・鳥羽一郎 海のロマンと男の哀愁を唄う』収録
天童よしみ（1991年） - アルバム『天童節 昭和演歌名曲選 第五集』収録
船村徹（1995年） - アルバム『友よ～船村徹 高野公男を歌う～』収録
五木ひろし（1996年） - アルバム『三橋美智也に捧ぐ「古城」』収録
大月みやこ（2001年） - アルバム『水仙～大月みやこが唄う船村徹の世界～』収録
西方裕之（2004年） - アルバム『故郷演歌集～ふるさとのはなしをしよう～』収録
北島三郎（2006年） - アルバム『想い出の歌謡集 2』収録
氷川きよし（2009年） - アルバム『氷川きよし・演歌名曲コレクション11〜ときめきのルンバ〜』収録
三山ひろし（2010年） - アルバム『歌い継ぐ!昭和の流行歌』収録
福田こうへい（2013年） - アルバム『響～南部蝉しぐれ～』収録
* 三丘翔太（2016年） - アルバム『翔太のお品書き』収録

これらのカバーからもわかるように、「あの娘が泣いてる波止場」は、歌い手それぞれの個性によって新たな魅力が引き出され、世代を超えて愛され続けている昭和歌謡の代表的な一曲と言えるでしょう。

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