ありがとう (漫画)

漫画『ありがとう』について

『ありがとう』は、山本直樹の作品で、少年コミックとして有名な『ビッグコミックスピリッツ』（小学館）に連載されていました。この漫画は、鈴木家という一家が直面した数々の試練を通して「家族とは何か」というテーマを深く掘り下げています。

ストーリーの背景

本作は、家が不良たちに占拠されたことから始まります。物語は、家族の絆が試される中で展開され、輪姦や新興宗教、いじめといったさまざまな困難が鈴木家に襲いかかります。そんな逆境の中で、父・鈴木一郎が必死に家族を守ろうとする姿が描かれています。

登場人物

鈴木家

• - 鈴木一郎: 鈴木家の家長。長年の単身赴任の間に家が不良たちに占拠されてしまうが、その事実を知り、奮闘する姿が描かれます。家族のために戦うも、長女・昌子や次女・貴子の問題が次々と押し寄せ、最終的に鈴木家の「解散」を宣言しますが、貴子が結婚した後、末期癌で他界します。

• - 鈴木貴子: 次女であり、父が不在の鈴木家で唯一冷静な存在。父との衝突を経て家出を図るが、様々な問題に直面し、結局は書原と共に新たな生活へと進むことになります。最終的には結婚し、母としての幸せを手に入れます。

• - 鈴木昌子: 長女として名門女子高校に通っていたが、輪姦や同級生からのイジメによって一度は学校を辞め、フリーターとして過ごす苦しい日々を経験します。家族が崩壊した後も、自らの道を探し続けます。

• - 鈴木さくら: 家族の主婦であり、夫不在の間にアルコール依存症に陥ります。宗教団体との関わりから悲劇的な勧誘を受け、その後の人生は波乱に満ちたものになります。

角間家

• - 角間アツシ: 鈴木家にとっての敵役ともいえる存在で、暴走族のリーダー。彼との葛藤が鈴木家の運命に大きな影響を与えます。

• - 角間新也・角間千里: アツシの両親であり、息子の問題行動に無関心であることが経済的な背景や家族の絆を引き裂く要因となります。

主題とメッセージ

この漫画は、家族の絆や個人の苦闘を通して「家族とは何か」という深い問いを投げかけています。逆境に立たされた鈴木一家は、互いの痛みを理解し合い、少しずつではありますが成長していく様子が描かれています。彼らのストーリーは、現代社会での家族のあり方に対する新たな視点を提供しています。

単行本と映画化

『ありがとう』は数巻にわたり単行本として刊行され、1996年には映画化もされました。書籍としての発行物は多岐にわたり、特にビッグコミックスからのものが一般的で、映画版でも主演の奥田瑛二ほか、実力派のキャストが揃い、作品の世界観をさらに広げました。

この作品は、単なる娯楽作品に留まらず、読者にさまざまな価値観や人間関係の深さを伝える重要なメッセージを持っているといえるでしょう。

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