いたずらきつつき

いたずらきつつき：トムとジェリーの大騒動

1949年公開のトムとジェリー短編アニメーション『いたずらきつつき』（原題：Hatch Up Your Troubles）は、アカデミー賞短編アニメーション部門にもノミネートされた人気作品です。1956年には『The Egg and Jerry』としてリメイク版も制作されています。日本では、かつて『ジェリーとたまご』という題名で放映されたこともありました。これは、当時の日本の社会情勢において、子供たちのいたずらが社会問題として深刻に捉えられていたことを反映していると言えるでしょう。

物語のあらすじ

物語は、庭の樹木の巣に営巣していたキツツキの卵が、母親不在の隙に巣から転落するところから始まります。転がり落ちた卵は、様々な偶然が重なり、最終的にジェリーの住処までたどり着き、そこで孵化します。

初めて見た生き物であるジェリーを母親と認識したキツツキのひなは、ジェリーに懐き、甘えます。最初は世話を焼こうとしたジェリーでしたが、ひなは強いクチバシでジェリーの家財道具を次々と破壊していくため、手に負えなくなってしまいます。何度巣に戻しても、ひなはすぐに帰ってきてしまうのです。

ある日、ジェリーから無理やり追い出されたひなは、トムが座っていた椅子の脚を削り始めます。これに激怒したトムはひなにジュースをかけますが、ひなはすぐに仕返しを仕掛けます。こうして、トムとひなの追いかけっこが始まり、その騒動にジェリーも巻き込まれていきます。

追いかけっこの中でトムはジェリーを捕まえ、斧で叩き殺そうとします。しかし、その直前、ひながトムを阻止します。ひなは、驚異的な計算能力を発揮し、電柱を正確な角度で切り倒してトムに直撃させ、ジェリーを救うのです。

無事に危機を脱したジェリーでしたが、そこにキツツキの母親が現れます。母親と再会したひなは母親に抱かれて飛び去っていきます。ジェリーは安堵と少しの寂しさを感じますが、ひなが再び現れ、ジェリーにキスをして去っていくという、ほっこりするエンディングを迎えます。

登場キャラクター

トム: ジェリーの宿敵である猫。自分の椅子を壊されたことに激怒し、ジェリーと共にひなを追いかけます。
ジェリー: ネズミ。最初はひなに振り回されますが、トムと協力してひなに対処します。最後はひなに感謝の気持ちを抱きます。
キツツキのひな: 巣から落ちたキツツキの卵から孵化した、いたずら好きで計算高いひな鳥。ジェリーを母親と思い込み、何でもかんでもクチバシで削ってしまいます。
キツツキの母親: 行方不明になったひなを探し、最後はひなと再会を果たします。

スタッフ

監督にはウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ、製作はフレッド・クインビーといった、トムとジェリーシリーズを支えた主要スタッフが名を連ねています。その他、多くのアニメーター、レイアウトマン、背景アーティストがクレジット無しで参加している点も注目に値します。音楽はスコット・ブラッドリーが担当しています。

まとめ

『いたずらきつつき』は、予測不能な展開と、コミカルなキャラクターたちの動き、そして意外なほどに緻密な計算によって繰り広げられるドタバタ劇が魅力の作品です。子供から大人まで楽しめる、何度でも観たくなるような、名作短編アニメーションと言えるでしょう。

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