いつでも夢を (映画)

映画『いつでも夢を』について

『いつでも夢を』は、1963年に日活が製作・配給した映画で、野村孝が監督を務めました。前年に大ヒットした同名楽曲を基にした作品で、主演は橋幸夫と吉永小百合が務めました。映画は、高度経済成長期の東京下町を舞台に、貧しいながらも夢を諦めずに生きる若者たちの姿を描いています。

ストーリー

物語は、町工場「森田機械製作所」で働く工員の勝利（かつとし）と、看護師見習いのひかるを中心に展開します。勝利は夜間高校に通いながら、一流企業への就職を夢見ています。一方、ひかるは工員たちの健康診断で人気を集める存在です。そこに、新任のトラック運転手である留次（とめじ）が加わり、３人の友情が深まっていきます。

勝利は、父が出奔したため一家を支えるという重責を背負っています。留次は、故郷を離れて都会で働く中で、ひたむきに夢を追う勝利に感銘を受けます。そんな中、ひかるの誕生日会をきっかけに、留次と勝利は互いにひかるに恋心を抱いていることを知ります。二人は友情を保ちながらも恋のライバルとして競い合うことを誓います。

物語が進むにつれて、勝利の父が偶然発見されます。彼は一攫千金を狙ったものの失敗し、家族に合わせる顔がないと姿を消していたのです。勝利は大手商社の入社試験に臨みますが、夜間高校出身という理由で不採用になります。失意の中、ひかるは勝利を励まし、過去の境遇を語り、どんな困難にも夢を持ち続けることの大切さを伝えます。留次は勝利を叱咤し、再び立ち上がることを促します。

物語の終盤で、勝利の父が交通事故に遭い入院したことが判明します。家族に謝罪する父の姿を見た勝利は、再び工場で働くことを決意します。そして、ひかる、留次と共に、それぞれの夢に向かって進んでいくことを誓います。

主な登場人物

岩下留次（留やん）: 橋幸夫が演じる、トラック運転手。勝利の親友であり、恋のライバル。
木村勝利（カッちゃん）: 浜田光夫が演じる、町工場の工員。夜間高校に通い、一流企業への就職を目指している。
三原ひかる（ピカちゃん）: 吉永小百合が演じる、看護師見習い。明るく、皆から慕われている。
三原泰山: 信欣三が演じる、ひかるの養父。産業医。
木村あい: 初井言栄が演じる、勝利の母。
木村長太郎: 織田政雄が演じる、勝利の父。
木村和平: 市川好郎が演じる、勝利の弟。

音楽

主題歌: 橋幸夫・吉永小百合「いつでも夢を」（1962年度日本レコード大賞受賞作品）
* 挿入歌: 橋幸夫「潮来笠」「おけさ唄えば」「北海の暴れん坊」「若いやつ」、吉永小百合「寒い朝」、浜田光夫「街の並木路」など、当時のヒット曲が多数使用されています。

ロケ地

映画のロケは、東京都内の様々な場所で行われました。主なロケ地は、荒川区、千代田区、港区、北区、足立区、調布市などです。特に、荒川土手や工場街の風景が、当時の下町の雰囲気を伝えています。

作品の魅力

『いつでも夢を』は、高度経済成長期の若者たちの夢と希望、友情と恋愛を描いた青春映画の傑作です。橋幸夫と吉永小百合のフレッシュな演技に加え、主題歌や挿入歌として使用された数々のヒット曲が、作品に彩りを添えています。当時の社会情勢や人々の暮らしぶりを知る上でも貴重な作品と言えるでしょう。

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