うしろ姿 (矢吹健の曲)

うしろ姿

「うしろ姿」は、情感豊かな歌声で知られる歌手、矢吹健によって1969年（昭和44年）5月に発表された通算4枚目のシングル、およびそのシングルのA面に収められた楽曲のタイトルです。この作品は、ユニオンレコード（当時、現在のテイチクエンタテインメントの前身であるテイチクが擁していたサブレーベル）からリリースされました。作詞は数々のヒット曲を手がけた山口洋子が担当し、作曲および編曲は藤本卓也が手がけています。矢吹健の初期の代表作の一つとして、彼のキャリアにおいて重要な位置を占める楽曲です。

シングル「うしろ姿」について

このシングルは、品番US-620-Jとして市場に投入されました。当時の定価は370円でした。シングルのA面にはタイトル曲である「うしろ姿」（収録時間3分59秒）が収められています。一方、B面には「愛子のブルース」（収録時間2分48秒）が収録されています。「愛子のブルース」もA面と同様に山口洋子が作詞を担当していますが、作曲は「ドラゴンクエスト」シリーズの音楽などで知られるすぎやまこういち、編曲は毛利猛が手がけています。異なる作曲家・編曲家によるB面曲との対比も、このシングルの特徴と言えるでしょう。

アルバムへの収録

シングルとしてリリースされた「うしろ姿」のA面楽曲は、同年の1969年に発表された矢吹健のファーストアルバム『あなたのブルース』にも収録されています。このアルバムには、彼のデビューシングルである「あなたのブルース」や、セカンドシングル「蒸発のブルース」といった初期のヒット曲群と共に収められており、「うしろ姿」が彼の初期キャリアにおける代表的な楽曲の一つであったことを示しています。

後世への影響とカヴァー

「うしろ姿」は、そのメロディーと歌詞の魅力から、後年多くの歌手によってカヴァーされ、歌い継がれています。特に注目されるカヴァーの一つに、1971年（昭和46年）に原みつるとシャネル・ファイブが発表したカヴァーがあります。彼らは、本作と同じく藤本卓也が作詞・作曲を手がけたシングル『稚内ブルース』でキングレコードからデビューしており、同年にリリースされたファーストアルバム『稚内ブルース』の中で、矢吹健の代表曲である「あなたのブルース」と共に「うしろ姿」をカヴァーしました。原みつるとシャネル・ファイブによるカヴァーの編曲は、彼らのシングル「稚内ブルース」の編曲も担当した船木謙一が行っています。

原みつるとシャネル・ファイブ以外にも、「うしろ姿」は多くの著名な歌手によってカヴァーされています。これまでにカヴァーしたことが確認されているアーティストには、演歌界の巨匠である藤圭子や天童よしみ、八代亜紀などがいます。また、俳優としても活躍した松方弘樹や、ムード歌謡グループの黒沢明とロス・プリモスなどもこの楽曲を取り上げており、ジャンルを超えて広く愛されている楽曲であることがうかがえます。これらの多様なカヴァーは、「うしろ姿」が持つ普遍的な魅力と、時代を超えて人々の心に響くメロディーライン、そして山口洋子による情景描写豊かな歌詞の力を証明していると言えるでしょう。

関連事項

この楽曲に関連する事柄としては、リリースされた「1969年の音楽」シーンが挙げられます。また、カヴァーしたアーティストとして「原みつるとシャネル・ファイブ」や、関連アーティストとして「平田満 (歌手)」の名前も挙げられることがあります。

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