うずまき (漫画)

うずまき

『うずまき』は、伊藤潤二によるホラー漫画作品であり、1998年から1999年にかけて『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載された。うずまきという日常に潜むモチーフを題材に、人々の狂気と恐怖を煽る独特の世界観が特徴である。2000年には実写映画化、2024年にはアニメ化もされ、幅広い層に支持されている。

概要

古来より、うずまきや螺旋は、その形状から拡散性、中心への注目性、循環性といった意味を持ち、シンボルや芸術のモチーフとして用いられてきた。また、機能的な形状から機械的な用途にも使われる。自然界にも多く見られるうずまきの神秘性に焦点を当て、本作は独自の世界観で描かれている。繊細な画力と相まって、上質な不気味さを醸し出している。

あらすじ

物語は、呪われた土地・黒渦町を舞台に展開する。女子高生の五島桐絵とその恋人・斎藤秀一の周りで、禍々しいうずまきにまつわる怪奇現象が次々と発生する。人がねじれたり、カタツムリに変身したり、台風が町に吸い寄せられたりと、奇怪な出来事が続く。時間経過とともに現実と乖離し、歪んでいく黒渦町で、呪いの中心にあるものとは何か。恐怖と謎が渦巻く物語が展開される。

登場人物

主要人物

五島桐絵（ごしま きりえ）
本作の主人公。黒渦町に住む女子高生。アニメ版の声優は佐武宇綺、映画版の演者は初音映莉子。
斎藤秀一（さいとう しゅういち）
桐絵の恋人。隣町の高校に通う。神経質な性格で、うずまきを「禍々しいもの」として感知することができる。アニメ版の声優は三木眞一郎、映画版の演者はフィーファン。

斎藤家

斎藤敏夫（さいとう としお）
秀一の父親。うずまきの形をしたものを集めるうちに、自ら身体を丸めてうずまき状になって死亡する。アニメ版の声優は松山鷹志、映画版の演者は大杉漣。
斎藤雪枝（さいとう ゆきえ）
秀一の母親。夫の死後、うずまき恐怖症になり、最終的に自ら命を絶つ。アニメ版の声優は土井美加、映画版の演者は高橋惠子。

五島家

五島泰雄（ごしま やすお）
桐絵の父親。陶芸家。アニメ版の声優は古川登志夫、映画版の演者は諏訪太郎。

クラスメイト

黒谷あざみ（くろたに あざみ）
桐絵の同級生。男子に人気がある。アニメ版の声優は伊瀬茉莉也。
西木和典（にしき かずのり）
桐絵の小・中学校の同級生。
山口満（やまぐち みつる）
桐絵の同級生でストーカー。映画版の演者は阿部サダヲ。
片山徳夫（かたやま とくお）
桐絵の同級生。肥満体でいじめられがち。アニメ版の声優は松崎克俊、映画版の演者は深津智男。
津村一樹（つむら かずき）
桐絵の同級生。片山をいじめている。アニメ版の声優は橘龍丸、映画版の演者は高野八誠。
石川志穂（いしかわ しほ）
桐絵の同級生。アニメ版の声優は福島亜美、映画版の演者は三輪明日美。

その他

横田育生（よこた いくお）
桐絵のクラスの担任。アニメ版の声優は遠近孝一、映画版の演者は手塚とおる。
丸山千恵（まるやま ちえ）
テレビのリポーター。映画版の演者はシン・ウンギョン。

用語

トンボ池
黒渦町にある池。うずまきの怪異が吸い寄せられる場所であり、この池の土を使った陶器には奇妙な模様が浮かび上がる。物語の終盤で、町そのものがうずまきであり、トンボ池がその中心であることが判明する。地下には巨大な遺跡があり、うずまきの呪いの根源とされている。
ヒトマイマイ
呪いによって人間がカタツムリ化する現象。背中にうずまき模様ができ、最終的に巨大なカタツムリになる。黒渦町が荒廃した後、食料として扱われることもある。
黒い灯台
岬にある灯台。らせん状の強い光を放つ。
長屋
黒渦町に点在する古い長屋。鬼が出没するという噂がある。増築の結果、トンボ池を中心とした巨大なうずまきの一部であることが判明する。
竜巻
黒渦町で発生する巨大な竜巻。物語中盤から、ちょっとした風でも家を吹き飛ばすほどの竜巻が発生するようになる。
蝶（バタフライ）族
竜巻に乗って人々を襲う荒くれ者たち。自らをドラゴンフライ族と称している。
台風一号
東シナ海で発生した台風。目が非常に小さく、桐絵に恋心を抱いて追いかける。最終的にトンボ池に吸い込まれる。

書誌情報

伊藤潤二 『うずまき』 小学館〈ビッグコミックス〉、全3巻
1998年8月29日発行、ISBN 4-09-185721-3
1999年2月26日発行、ISBN 4-09-185722-1
1999年9月30日発行、ISBN 4-09-185723-X
ビッグコミックス ワイド版 2000年3月7日発売、ISBN 4-09-185816-3
ビッグコミックス 新装版 2010年8月30日発売、ISBN 978-4-09-183242-9

映画

2000年2月11日に公開された。同時上映は『富江 replay』。Higuchinskyが監督を務めた。主演は初音映莉子。

キャスト

五島桐絵：初音映莉子
斎藤秀一：フィーファン
斎藤敏夫：大杉漣
斎藤雪枝：高橋惠子
関野恭子：佐伯日菜子
田村一郎：堀内正美
五島泰雄：諏訪太郎
二田巡査：でんでん
横田育生：手塚とおる
山口満：阿部サダヲ
丸山千恵：シン・ウンギョン
石川志穂：三輪明日美
津村一樹：高野八誠
その他多数

制作スタッフ

配給：東映
製作年度：2000年
監督：Higuchinsky
脚本：新田隆男
音楽：鈴木慶一、かしぶち哲郎
主題歌：Do As Infinity 「Raven」

ムービーコミック

2014年10月20日に配信開始。漫画に音声や特殊効果を加えたもの。全19話。

キャスト

五島桐絵：安済知佳
斎藤秀一：羽多野渉

主題歌

土屋アンナ「The Magic of Halloween」

アニメ

Production I.G USAとカートゥーン ネットワークの共同プロデュースで製作されたアニメ作品。2024年9月28日より放送開始。全4話。

沿革・概要

2019年9月にアニメ化が発表された。当初は2020年に放送予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期。その後も度重なる延期を経て、2024年に放送が開始された。

メインスタッフ

監督：長濱博史（第1話）、森山雄治（第2 - 3話）
脚本：伊丹あき
キャラクターデザイン：佐藤浩一
音楽：コリン・ステットソン
アニメーション制作：冨嶽（第1、4話）、暁（第2 - 3話）
製作：Adult Swim × Production I.G. USA

主題歌

「道成寺の小鳥歌」
　佐武宇綺によるエンディングテーマ。

脚注

参考文献

『宇宙船YEAR BOOK 2001』朝日ソノラマ

外部リンク

うずまき - allcinema
うずまき - KINENOTE
うずまき - オールムービー（英語）
うずまき - IMDb（英語）
UzumakiAnime (@UzumakiAnime1) - X（旧Twitter）

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