うる星やつら オンリー・ユー

『うる星やつら オンリー・ユー』

『うる星やつら オンリー・ユー』は、1983年2月11日に公開された日本のアニメーション映画であり、東宝系での上映が行われました。この作品は高橋留美子の原作に基づくテレビアニメ『うる星やつら』の劇場版シリーズ第一弾です。監督は押井守が担当しましたが、実質的には彼の初めての劇場版監督作でもあります。

概要

この映画はオリジナルストーリーで構成されており、原作者の高橋からは高く評価されましたが、後に押井自身はこの作品を「完全な失敗作」であると語っています。公開時の対談では、別の監督が降板したために急遽押井が監督を引き受けることになったと説明しています。

制作が始まった時点での進捗は問題を抱えており、残された時間はわずか5ヶ月という状態でした。特に脚本には不満が多く、押井は大幅に内容を変更した上で絵コンテを描くことになります。その結果、プロデューサーや脚本家からのクレームがあったものの、締切が迫っていたため、押井の手が加えられたストーリーがそのまま採用されることになりました。

パロディ要素が豊富で、特に映画『卒業』を模したシーンは有名です。また、上映時間が89分と短縮されたため、一部の重要なシーンがカットされました。しかし、その後のファンの要望を受けて再編集されたノーカット版が上映されました。この編集版は104分に及びましたが、押井は「やっぱり長過ぎた」と述べています。

音楽

音楽はテレビアニメでも活躍していた安西史孝が担当しました。彼は当時高価だったシンセサイザー『フェアライトCMI』を使用し、独自のBGMを創り出しました。また、実験的な試みとして、高橋留美子の声をサンプリングし、それを使用したBGMも制作されています。音楽に関しては多大なる工夫がなされており、作品の雰囲気を一層引き立てています。

あらすじ

物語は影踏み遊びをする子供のシルエットから始まります。少年は少女から11年後に結婚しようと告げられるも、彼女は宇宙へ去ってしまいます。時が経ち、諸星あたるの周囲にエルという宇宙人との結婚式の招待状が届き、彼は思いもよらない事態に巻き込まれます。そこであたるは、ラムとともにエルを巡る騒動に巻き込まれ、さらには宇宙の旅に出ることに。

ラムはあたるを取り戻すために奮闘しつつも、宇宙空間で様々なキャラクターと出会います。それぞれのキャラクターたちの思惑が絡み合う中で、結婚式が行われようとしていましたが、事態は予想外の展開を迎えます。

彼らは時空を超えて過去に飛ばされ、事件の真相を知ることになります。最終的には、あたるとラムの結婚式が盛大に行われるものの、あたるは「嫌だ」と叫び逃げ出すことに。その姿は多くの人々を巻き込んだ鬼ごっこのような展開を生み出します。

キャストと評価

キャストには古川登志夫（諸星あたる）、平野文（ラム）などが名を連ねています。このアニメ映画は原作ファンやスポンサーからの支持を受け、商業的にも成功しましたが、同時に批評家からはさまざまな評価が寄せられました。

特に宮崎駿からは、ストーリー展開やキャラクターへの分析を含んだ厳しいコメントがあり、押井自身も短期間で制作に挑んだことから、多くの反省点を抱える作品として捉えています。この映画は押井守の次作以降の作品に多大なる影響を与えたことでも知られています。

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