おしょろ丸 (5代)

おしょろ丸

おしょろ丸（おしょろまる）は、北海道大学が所有する練習船であり、最新の5代目が2014年に就航しました。この船は、前代の「おしょろ丸 (4代)」の後継として、三井造船玉野事業所で建造されました。

概要

おしょろ丸はその耐氷構造と高い性能で評価され、特に日本船舶海洋工学会のシップ・オブ・ザ・イヤー2014の漁船・作業船部門賞を受賞しています。この船は、極域の航行が可能という特徴から、環境に優しい電気推進技術、水中での振動や音を抑える設計が施されており、さまざまな研究や調査に適しています。

設計と目的

おしょろ丸は、水産科学を学ぶ学生や研究者の育成を目的として設計されており、国内外の大学や研究機関と連携して実習や共同研究を行います。また、東日本大震災で被害を受けた水産業の復興を支援する役割も果たしています。

この船は、運動性と耐航性を高めつつ、環境に与える負荷を軽減し、調査能力や実習の効率を向上させる設計がされています。特に、船体振動や水中の放射雑音を減少させるための制振材の使用や、低騒音型の補機類を採用した多様な対策が施されています。

技術的特徴

船体の設計は、推進性能や耐航性を考慮し、低重心化を図っています。北方海域用にIC級の耐氷構造に準拠した設計となっており、船の前部にはバルバスバウ、後部にはバルブ型船体を採用しています。これによりキャビテーションを抑制し、ソナードームの音響調査機器への影響を軽減しています。

また、動揺を抑えるための機器として、大型ビルジキール、アンチローリングタンク、格納式フィンスタビライザーを装備しています。推進システムには電気推進を採用しており、3基のヤンマー製発電機（1300kW）を搭載。これにより、航行中でも点検ができるような設計となっています。さらに、冗長性を考慮し2基の推進電動機を装備し、故障が発生した場合でも安全に運航できる体制が整っています。

操作性と作業環境

船の操縦は、ジョイスティックシステムを利用して行われ、多様な操船モードが可能です。機関制御は統合制御システムにより運営され、遠隔から各種ポンプの操作や状況監視が可能です。実習の効率化を図るため、船首に作業甲板を設置し、後部には観測機器を配置した船尾作業甲板があります。また、船尾には油圧式スリップウェイとAフレームクレーンも装備されています。

船内には研究と実験用の11区画が設けられており、甲板上には用途に応じて交換可能なコンテナ型の研究室も搭載できます。

結論

おしょろ丸は、北海道大学の水産学教育と研究の重要な拠点であり、その先進的な設計と機能によって、国内外の水産業と環境問題に貢献しています。この船は、未来の水産科学に寄与する若者たちを育成するための貴重な資源です。

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