おとめ山公園

おとめ山公園

東京都新宿区下落合二丁目に位置する新宿区立の都市公園です。目白台地の南斜面を利用した起伏に富む地形が特徴で、神田川を眼下に望む場所に広がっています。広大な敷地は27,566平方メートルに及び、新宿区立公園の中では新宿中央公園に次ぐ規模を誇ります。

概要

公園内の斜面からは、東京都が選定する「東京の名湧水57選」にも数えられる豊かな湧き水が流れ出ています。この湧水は、敷地内でホタルを養殖するために活用されており、例年7月にはホタルを鑑賞する催しが開催されます。園内にはナラやシイ、クヌギといった落葉樹が茂り、かつての武蔵野の面影を今に伝える自然環境が保全されています。また、見晴台からは高田馬場方面の街並み越しに、新宿の新都心までを一望することができます。園内には「弁天池」と呼ばれる池があり、ここではカルガモが飛来して繁殖することが確認されています。そのため、公園を通り抜ける道路には、カルガモの往来に注意を促す標識が設置されています。

歴史

公園名となっている「おとめ山」は、「御留山」あるいは「御禁止山」とも表記されました。江戸時代、この一帯は徳川将軍家の狩猟地として定められ、一般人の立ち入りが厳しく制限されていたことにその名が由来します。当時の御留山は、現在の公園敷地のみならず、北方の徳川黎明館や「上り屋敷」地区（かつて西武池袋線に上り屋敷駅が存在しました）を含む広範囲に及び、将軍家の所有地でした。その西端は七曲坂や薬王院付近であったと伝えられています。江戸時代末期には、旗本の酒井家の所有地となりました。

御留山であった区域内に建てられた新宿区立落合第四小学校の校歌にも、この土地の歴史が歌い継がれています。明治から大正時代にかけて、この土地の大部分は近衛家と相馬家によって東西に二分して所有されました。相馬家が所有した部分は、近衛篤麿の死去後に近衛家から購入したものであり、現在の公園の南半分にあたります。この相馬家部分は、大正時代に造園家・長岡安平の手によって回遊式庭園として整備されていました。

第二次世界大戦後、この土地は国有地となり、一時荒廃して国家公務員住宅の建設が予定されていました。「落合の秘境」とも称されたこの豊かな自然環境の保全を強く望む近隣住民の要望が高まり、これを受けて東京都が約3年をかけて整備を行い、1969年7月1日に公園として開園に至りました。開園と同時に新宿区に移管され、以降、区立公園として今日に至ります。さらに、公園に隣接していた公務員住宅が廃止されたことに伴い、新宿区がその敷地を買い取り、公園用地として拡張整備を進めました。これにより、2014年10月26日に公園全体が全面開園となり、現在の広さとなりました。

アクセス・公園情報

最寄り駅:
JR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線 高田馬場駅より徒歩約7分
西武新宿線 下落合駅より徒歩約7分

面積: 27,566平方メートル
管理者: 新宿区
主な設備: 児童館、ちびっこプール、緑陰広場、遊具、トイレ
入園料: 無料
開園時間: 原則として午前7時から午後5時まで（4月から9月は午後7時まで延長）

公園は新宿区立落合第四小学校に隣接しており、児童が課外活動などで利用することもあります。ただし、園内は緑が豊かで場所によっては薄暗い箇所もあるため、特に子供だけで訪れる際には注意が際には安全に注意が促される場合もあるようです。

関連項目

* 長岡安平（相馬家林泉園の作庭者）

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