おとめ座ベータ星

おとめ座β星

おとめ座β星（β Vir / β Virginis）は、おとめ座に位置する4等級の恒星です。この星は、太陽よりも高温で質量が大きく、金属量が多いF型主系列星に分類されます。1973年の研究では、スペクトル分類「F9V」のスペクトル標準星に選ばれ、F型主系列星の中でも晩期型に属し、G型主系列星との境界に近い性質を持っています。

特徴

おとめ座β星は黄道に近いため、月や惑星による掩蔽が観測されることがあります。次に金星による掩蔽が起こるのは2069年8月11日と予測されています。また、1922年9月21日の皆既日食の際には、太陽近傍にあったこの恒星を用いて、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論を検証する観測がオーストラリアで行われました。

系外惑星の探索

過去の研究では、おとめ座β星の周囲に複数の木星型惑星や褐色矮星が存在する可能性が示唆されていました。1998年の研究では、質量の上限がそれぞれ1.9、5、23木星質量で、軌道周期が15、25、50年の惑星の存在が提唱されました。また、別の研究でも惑星の存在が予測されましたが、近年の観測では確認されていません。マクドナルド天文台のチームは、惑星が存在するとすれば、その質量は0.16から4.2木星質量で、平均軌道半径は0.05から5.2天文単位の範囲にあると推定しました。

名称

固有名のザヴィヤヴァ（Zavijava）は、アラビア語の「zāwiyat al-ʿawwāʾ（al-ʿawwāʾ の一角）」に由来します。この名前は、本来はおとめ座γ星を指していたものが、誤ってβ星に使われるようになったとされています。おとめ座のβ星、γ星、η星、δ星、ε星は、アラビアの月宿で13番目の「al-ʿawwāʾ」とされていますが、この「al-ʿawwāʾ」が何を指すかは明確にはなっていません。一説には「吠える犬」を意味するとも言われています。2016年8月21日、国際天文学連合は、ザヴィヤヴァを正式におとめ座β星の固有名として承認しました。

まとめ

おとめ座β星は、その明るさと特徴的な性質から、古くから観測されてきた恒星です。惑星の存在についてはまだ確証が得られていませんが、今後の研究によって、更なる発見があるかもしれません。この星の固有名「ザヴィヤヴァ」は、歴史と文化が交差する興味深い物語を伝えています。

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