お供馬の走り込み

お供馬の走り込みとは

愛媛県今治市菊間町にある加茂神社で、毎年10月第3日曜日に開催される神事です。「お供馬の神事」として、愛媛県指定無形民俗文化財に指定されています。

この神事は、加茂神社の秋季大祭の一環として行われ、牛鬼や池原獅子、神輿などの行事も同時に執り行われます。特に、池原獅子舞は、愛媛県の無形民俗文化財である「今治及び越智地方の獅子舞」を保護する団体によって演じられます。

勇壮な走り込み

お供馬の走り込みでは、正装した馬に祭りの装飾具をつけ、3歳から15歳までの少年たちが「乗子」として騎乗します。少年たちは「ホイヤー、ホイヤー」という勇ましい掛け声とともに、神社の鳥居から境内までの約300メートルを一気に駆け抜けます。その勇壮で華麗な姿は、見る人々を魅了します。

歴史と変遷

お供馬の走り込みは、室町時代に京都の上賀茂神社の葵祭で行われる競馬会が起源とされています。当初は各家庭で飼育していた馬が参加していましたが、高度経済成長期における農業の機械化に伴い、農耕馬の飼育数が減少しました。

1975年、地域の馬主たちが「愛馬会」を結成し、北海道から馬を買い付けて飼育を始めました。長年にわたり、「愛馬会」の会員たちが馬の世話や練習、乗子の指導を行ってきましたが、会員の高齢化により馬の飼育が困難になり、馬の数が減少しました。

この伝統文化を絶やさないために、「愛馬会」は2017年にサンクスホースプロジェクト（現：サンクスホースプラットフォーム）と連携し、引退競走馬を受け入れることで馬の数を確保しました。しかし、サラブレッドは運動が必要であり、個人の飼育負担が大きいという課題が残りました。

地域での取り組み

持続的な馬の飼育のために、「愛馬会」の会員有志は、2020年にNPO法人菊馬会を設立しました。菊馬会は、地域内外の人々に馬と触れ合う機会を提供することで、飼育環境の維持を目指しています。また、「お供馬」に関する情報発信や、ホースセラピーなどの活動も行っています。

周辺情報

お供馬の走り込みが行われる加茂神社の周辺には、以下の施設があります。

今治市立菊間小学校
今治市立菊間中学校
かわら館
菊間駅

会場へのアクセス

西瀬戸自動車道今治インターチェンジから車で約30分。
JR菊間駅から徒歩で約15分。
瀬戸内運輸（せとうちバス）「JA菊間」バス停から徒歩で約16分。

関連情報

愛媛県指定文化財一覧
* 加茂神社公式サイト

お供馬の走り込みは、地域の人々によって大切に守り続けられている伝統文化であり、その勇壮な姿は多くの人々を魅了します。今後も、地域全体でこの伝統を継承していくことが期待されます。

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