かじき座

かじき座（Dorado）

かじき座は、現代の88星座の1つで、南天に位置する星座です。16世紀末に考案され、当初はシイラがモチーフとされましたが、後にカジキと見なされるようになりました。この星座は、オーストラリアの沖合に位置する沖ノ鳥島でのみ、その全容を観察できるものの、北海道など日本のほとんどの地域からは視認することはできません。

主な天体

かじき座には、肉眼で観測できる明るい恒星は少ないですが、1つの3等星といくつかの4等星以下の星が存在します。特に目を引くのは、星座の南端に位置する大マゼラン雲で、肉眼でも観察することができます。1987年には、この雲の内部で超新星SN 1987Aが出現し、多様な観測が行われました。

恒星

かじき座には特に固有名のついた恒星はないものの、2019年に国際天文学連合が付けた名前が注目されています。主星WASP-62は南アフリカ共和国に由来する名前で、主星はNaledi、惑星はKrotoaと名付けられました。さらに、以下のような恒星が存在します：

• - α星: この星は見かけの明るさが3.28等のB型巨星で、かじき座で最も明るく見えます。約2.95日の周期で変光します。
• - β星: 超巨星であり、見かけの明るさは約3.76等です。約9.84日の周期で明るさが変化します。
• - γ星: F型主系列星で、4等星です。脈動変光星のプロトタイプでもあり、約0.757日の周期で変光します。

この星座には多くの脈動変光星が含まれ、色々な天体観測の対象となっています。特にR星は、赤色巨星として知られ、その明るさは赤外線での観測時に注目されています。大マゼラン雲内の散開星団NGC 1901に属するS星なども興味が持たれています。

星団・星雲・銀河

大マゼラン雲は、かじき座の領域の大部分を占めています。この雲には活発な星形成が行われている場所があり、特に「かじき座30」と呼ばれるHII領域は、その中でも重要な地点となっています。大マゼラン雲は約16万3000光年離れた不規則銀河で、天の川銀河の伴銀河です。

かじき座の歴史

この星座の命名には長い歴史があります。いったんシイラとして知られていたことが、後にカジキとして認識されるようになりました。その過程で多くの天文学者がこの星座に様々な名称を付け加えました。1603年、ドイツの天文学者ヨハン・バイエルが発表した星図によって、公式に星座として認識されましたが、実際には1598年の初めにオランダの天文学者ペトルス・プランシウスによって考案されました。飾り立てられた魚の姿が描かれたこれらの星座は、近年になってその源流の大部分が明らかになりました。

かじき座の現代的な呼称

日本では、明治末期から「旗魚」という名が使われ、今では「かじき」が定着しています。中国では「剣魚座」と呼ばれることが多いです。

かじき座は新しい星座であるため、古典的な神話や伝承は存在しませんが、観測対象の星々とその周辺の現象は、天文学者たちにとって引き続き大きな興味と研究の対象となっています。

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