かとり (練習艦)
練習艦「かとり」 - JDS Katori
「かとり」（ローマ字：JDS Katori, TV-3501）は、海上自衛隊に所属する練習艦であり、その名は香取神宮に由来しています。日本の艦艇としては、旧海軍に続く3代目の「香取」として位置づけられています。
概要
海上自衛隊は1957年以降、新たに任命された幹部候補生の実習訓練として内地巡航や遠洋練習航海を行っていました。この訓練のためには毎年4～5隻の護衛艦が配属されていましたが、主力護衛艦が数ヶ月間にわたって遠洋航海することは、海上自衛隊の練度維持にとって問題となっていました。それに加えて、護衛艦の施設が教育や居住のためには不十分であったため、専用の練習艦として「かとり」が建造されました。
「かとり」には長距離訓練航海に対応できるよう配慮がなされており、実習員のための居住区や教育設備は艦の後部にまとめられて、艦の固有乗組員の区画とは切り離されていました。煙突の後部には大型甲板室があり、ここには実習講堂や居住区、食堂がありました。後部甲板はヘリコプター甲板としても利用でき、体育訓練やレセプションなど多様な用途に対応しています。
また、艦内には各戦闘区画や教育区画が広く確保されており、実習生が教育訓練を受けやすくなっています。主機関には蒸気タービンが使用されており、缶室と機械室は同一区画に配置されています。これにより、実習員は主機の運転状況を学ぶことができるように工夫されています。
艦の兵装としては、68式50口径3インチ連装速射砲や71式ボフォース・ロケット・ランチャー、68式3連装短魚雷発射管などが装備されており、計画段階での護衛艦が搭載していた代表的な兵装が揃っています。また、練習艦として取り外し可能な礼砲2門も装備されています。対空レーダーは護衛艦「わかば」からの流用で、練習艦に適合する形で活用されています。
艦歴
「かとり」は、昭和41年度防衛力整備計画に基づき、日本の海上自衛隊の練習艦3501号艦として、1967年12月8日に石川島播磨重工業で起工されました。そして、1968年11月19日に進水、1969年9月10日には就役し、練習艦隊の直轄艦として編入され、旗艦となりました。定係港は横須賀に設定されていました。
1970年から1993年にかけて、24回の遠洋練習航海に出航し、この間に延べ209ヵ国の307港を訪れ、3,537名の実習幹部を育て上げる成果を上げました。主な兵装が砲雷からミサイルに移行し、主機関も蒸気タービンからガス[[タービンエンジン]]に変わる中、老朽化が進行した「かとり」は後継艦が建造されることとなります。しかしながら、後継艦「かしま」の就役が遅れたため、「かとり」は遠洋航海から退艦するまでに至ります。
1995年には練習艦隊の第1練習隊に編入され、定係港を呉に転籍。以降は日本近海での訓練航海に従事し、1994年には艦齢25年を迎え、初めて海上自衛隊の観艦式に参加することができました。しかし、1998年3月20日に除籍され、28年半の航海を経てスクラップとして売却され、最終的には江田島で解体されました。
「かとり」は、総航程で988,936浬を記録し、これは地球と月の間を2往復半する距離に相当します。24回の遠洋航海を経て、209ヶ国307港を訪れたことは、この艦の意義と歴史を象徴しています。
艦名の由来
「かとり」の艦名は、海上自衛隊の練習艦の初代が「かとり」と名付けられる予定でしたが、当時の防衛庁長官の意見により、「かしま」と変更されることを希望されていました。しかし、関係者が艦名の由来を説明し、最終的には「かとり」と決まることになります。これは、初代「香取」が天皇陛下が皇太子時代に親しんだ艦船であったためです。そのため、艦名が変更されることなく、名付けられたとされています。
歴代艦長
「かとり」の艦長は数々の有名な自衛官が就任しており、その歴史と功績は艦艇としての役割を果たす中でも重要でした。
参考文献
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