きかんしゃ やえもん

絵本『きかんしゃ やえもん』の魅力

『きかんしゃ やえもん』は、日本の絵本作家阿川弘之が文を書き、岡部冬彦が絵を担当した作品です。1959年に岩波書店から出版され、その後も多くの愛読者に親しまれてきました。やえもんという名の蒸気機関車が主人公として登場し、さまざまな出来事を通じて成長する姿が描かれています。また本作は国語の教科書に取り上げられたり、影絵劇化やアニメ映画化されるなど、多方面にわたって影響を与えています。

ストーリーの概要

物語の舞台は田舎の町にある小さな機関庫。そこには古びた蒸気機関車のやえもんが住んでいます。やえもんは年配の機関車で、仲間の小さな客車と共に、大きな駅との間を行き来しています。ある日、町の駅に着いたやえもんは、現代の電気機関車たちから「びんぼう汽車」とからかわれてしまいます。腹を立てたやえもんは帰り道で煙突から思わず煙と共に火の粉を吐き出し、これが原因で田んぼに火を付けてしまいます。幸いにも事なきを得ますが、村人たちは怒り出し、やえもんを追い回します。

やえもんはなんとか機関庫に逃げ込むものの、村人たちが騒ぎ込んできてしまいます。鉄道職員たちが彼をかばおうとしますが、村人たちは許そうとはしません。この混乱の末、翌日からやえもんは休むことになります。やえもんの運行を引き受ける新しいレールバスのいちろうと、はるこが登場しますが、やえもんはその運命を左右する重要な局面を迎えます。

やえもんの運命

やえもんが休むことになり、職員たちはやえもんをスクラップにすることを決定します。しかしその時、偶然通りかかった交通博物館の学芸員がやえもんを見つけ、保存を希望します。かつての栄光を取り戻すチャンスが広がります。鉄道員たちはこの提案に賛同し、やえもんは博物館に運ばれ、子どもたちの手で磨かれることになります。こうして、彼は新しい場で生の続きを持つことができました。

登場キャラクターたち

物語には魅力的なキャラクターたちが登場します。やえもんは威張り屋ですが、実は子どもたちに優しい一面を持っています。また、客車たちや村人たち、さらにはやえもんの運命を左右する鉄道職員や電気機関車も非常に個性的です。特に、やえもんを応援する子どもたちの存在が物語に明るさを与えています。

本作の背景

本書は、1950年代に岩波書店が自社の児童文学作品を増やすために刊行したものです。そのため、国産の物語やキャラクターを通して、日本の子どもたちに楽しまれることを目指しました。やえもんの名前は、作者の阿川が取材を通じて知り合った日本人移民から取られたと言われています。

また、やえもんのモチーフとなった機関車は国鉄150形蒸気機関車であり、その歴史的背景を知ることも作品をより楽しむポイントです。

映像化とその反響

『きかんしゃ やえもん』は、影絵劇やアニメーションとして映像化され、多くの人に感動を届けました。特に1970年に上演された影絵劇や、1974年のアニメ映画版は高い評価を得ました。他にも、2009年には3DCGアニメとして再び映画化されるなど、時代を超えて愛され続けています。そのため、今後も新しい世代の子どもたちにこの物語が受け継がれていくことでしょう。

結論

『きかんしゃ やえもん』は、ただの絵本を超えた深いメッセージが詰まっている作品です。友達やコミュニティ、さらに自分自身の存在意義を見つめ直すきっかけを与えてくれる、真に愛らしい物語です。

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