きかんしゃやえもん D51の大冒険

『きかんしゃやえもん D51の大冒険』について

『きかんしゃやえもん D51の大冒険』（英文：Yaemon, The Locomotive）は、1974年に公開された日本の劇場用アニメ映画です。この作品は、擬人化された古い蒸気機関車を主人公にし、広く親しまれている原作『きかんしゃ やえもん』からインスパイアを受けています。独自のストーリー展開が特徴で、制作は東映によって行われ、シネマスコープで62分間の上映時間を持つカラー作品です。お話の内容は、蒸気機関車やえもんの冒険と友情、成長が描かれています。

原作とストーリーの変化

原作は阿川弘之による文と岡部冬彦による絵の絵本で、1959年に岩波書店から出版されました。この絵本は教育現場でも広く使われ、長年人気を博しています。しかし、映画版ではやえもんのモデルが150形（または400形）機関車からD51形に変更され、そのストーリーも大幅に改編されています。やえもんはSL（蒸気機関車）好きの少年・正との関係を中心に展開され、約3分の1は実写の鉄道車両映像が使用されています。

あらすじ

物語はかつて名機関車だったD51やえもんが、年齢と共に現役を退き、仲間の機関車たちからは無用の存在と見なされているところから始まります。ある日、やえもんは踏切で立ち往生してしまい、その後田舎の機関区に送られます。これを心配した正は、長い距離を歩いてやえもんに会いに行き、再会を果たします。力を取り戻したやえもんと共に町に戻る途中、誤ってディーゼル機関車のハイハイに火の粉を浴びせてしまいます。

ハイハイはやけどを負い、周りの機関車たちを巻き込み、ついにやえもんの解体が決まってしまいます。しかし、その瞬間、駅にギャング団が現れ、逃げ出す騒ぎが起きました。やえもんは勇気を振り絞って正たちを乗せ、ギャングを追いかけ、途中で力尽きたハイハイを助け、一緒に町に帰還します。この冒険の中でやえもんは再び仲間たちから信頼され、解体を免れて鉄道公園での余生を送ることになります。

登場キャラクター

本作に登場するキャラクターは、やえもんという主人公のほかに多くの友達や敵が存在します。やえもんは心優しいD51形蒸気機関車で、頑固な一面も持っています。彼の親友は正という少年で、やえもんを支えるだけではなく、自身の成長物語とも絡んでいます。

また、仲間の機関車たちやギャング団、動物たちも物語に色を添えています。ギャングのジャンボは鉄道マニアで、切符を盗むために活動するボスです。コミカルなキャラクターや感動的なシーンが交互に現れ、観客に笑いと涙をもたらします。

音楽と文化的影響

本作の主題歌は水木一郎の「きかんしゃやえもん」で、オープニングとエンディングで使用されています。他にも数曲の挿入歌があり、物語の進行と共に感情を盛り上げます。特に「頑張のうた」は、物語の重要な場面で流れ、観客に勇気を与える役割を果たします。

『きかんしゃやえもん D51の大冒険』は、日本のアニメ映画史における重要な作品で、親子で楽しめる内容と感動的なストーリーで多くの観客を魅了しました。アニメーションだけでなく、原作絵本と共に後世に受け継がれていく作品です。

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