きずな (漫画)

きずな（漫画）

『きずな』は、ももち麗子による日本の漫画作品です。家庭崩壊をテーマにしたサスペンス作品で、問題提起シリーズの一つとして位置づけられています。講談社の『デザート』にて2004年6月号から2005年8月号まで連載され、単行本は全3巻が刊行されています。

あらすじ

高校2年生の斑鳩夏波は、両親、祖母、弟の冬馬と平穏な日々を送っていました。しかし、冬馬が突然見知らぬ男に刺されるという事件が発生し、日常は一変します。冬馬の入院後、斑鳩家には脅迫電話が相次ぐようになり、祖母の光子や父の大成も脅迫の標的となります。脅迫者の正体を知った光子は、事態を収拾しようとしますが、ひき逃げに遭い命を落としてしまいます。夏波は幼馴染の太一と共に、事件の真相を追うことになります。

調査を進めるうちに、夏波は父・大成から衝撃的な事実を聞かされます。実は、冬馬は養子であり、実子ではなかったのです。本物の冬馬は幼い頃に事故で亡くなっており、母・沙智子はその事実を受け入れられずにいました。妻の苦悩を見ていた大成は、教会に捨てられていた赤ん坊を冬馬として育てることを決意。その際、実の冬馬の遺体を陶芸窯で焼却したというのです。

さらに、夏波は冬馬の実の両親が14年前に起きた強盗殺人事件の被害者であり、大成を脅迫していた人物がその事件の犯人であることを突き止めます。家族を守るため、夏波は脅迫者を殺害することを決意し、正当防衛を装った計画を実行します。しかし、娘の犯行を知った大成は自責の念に駆られ、警察に出頭。夏波は殺人罪で逮捕されます。

養子であった事実を知った冬馬、そして息子の出生の秘密を知った沙智子は大きな衝撃を受け、大成を責めます。沙智子は家を出てしまい、冬馬も実の両親の元へ引き取られることになります。数年後、太一との再会をきっかけに、冬馬は斑鳩家での14年間を振り返り、自分の居場所を改めて考えます。そして、大学生になった冬馬は斑鳩家に戻ることを決意し、出所した夏波と再会を果たします。

登場人物

斑鳩 夏波（いかるが かなみ）
主人公。家族を守るため、脅迫者の正体と事件の真相を追う。
斑鳩 冬馬（いかるが とうま）/上野 樹（うえの いつき）
夏波の弟。実は養子で、14年前の強盗殺人事件の被害者の息子。
斑鳩 大成（いかるが たいせい）
夏波と冬馬の父。陶芸家。過去の秘密を抱え、脅迫を受ける。
斑鳩 光子（いかるが みつこ）
夏波と冬馬の祖母。過去に罪を犯しており、それが脅迫の種となる。
斑鳩 沙知子（いかるが さちこ）
夏波の母。冬馬の死を受け入れられず、大成の行動のきっかけとなる。
九原 太一（くはら たいち）
夏波の幼馴染。夏波に協力し、事件の真相解明に奔走する。
チカ
夏波の親友。逮捕後も夏波を心配し続ける。
太一の父
大成の友人。斑鳩家が悪者扱いされる中でも大成を擁護する。
ミッキー
夏波に付きまとう男。後に逮捕される。
鈴木 重三（すずき しげぞう）
冬馬を診察した医者。大成を脅迫するが、後に殺害される。
阿部 哲夫（あべ てつお）/佐伯（さえき）
新たな脅迫者。14年前の強盗殺人事件の犯人。
刑事
夏波の取り調べを担当する刑事。

書誌情報

ももち麗子『きずな』〈KCデザート〉、全3巻

2004年9月13日発売、ISBN 4-06-365287-4
2005年3月11日発売、ISBN 4-06-365312-9
* 2005年7月22日発売、ISBN 4-06-365330-7

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